空の軌跡AS
□空の軌跡AS 第1章
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第6話 再会そして… 後編
「ティータァァァァァァァァァ!!!」
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
建物の中にエステルとクローゼの叫び声が木霊する。
あ………。
スローモーションのように近付いてくる刃にティータは己の死を覚悟し、ギュッと眼を閉じた。
……………。
……………。
……………?
いつまで経っても身を貫く衝撃が襲ってこないことを不審に思い、ティータは恐る恐る目を開いていく。
目を開いたとき、目の前にあったのは刃ではなく、1人の青年の姿だった。
赤い髪に緑のバンダナ、そして屈強そうな肉体をした男が黒装束の男の刃を受け止めている。
一見見た目は怖いそうだが、ティータはその大きな背中を見ていると、すごくホッとしている自分に気付いた。
先程までの恐怖は消え去り、今では安心感に包まれている。
身体はクローゼに正対しているが、顔はクローゼを捉えておらず、違う方向を向いている。
「おい。」
「ふぇ?」
赤毛の男がティータに話しかけてきた。顔は20代半ばといったところだろうか、立派なモミアゲと右頬にある十字傷が印象的だ。
「危ないから、後ろに下がってな。」
「えっ?」
「うおおおおっ!」
ティータに後ろに下がっているよう言うや、男は凄まじい咆哮をあげながら突進していく。手には身の丈程もある大剣が握られている。
「うらあっ!」
「がっ…。」
突然の赤毛の男の登場に気が動転していた黒装束の男は赤毛の男の重そうな一撃をまともにくらって一回二回と地面を転がりながら壁に激突した。
「あと、4人か。そこを動くんじゃねえぞ!うおおおおっ!」
赤毛の男は再び咆哮をあげながら敵に突進していく。
「あ…エステルさん!」
「合点承知よ!」
それまで呆然と成り行きを見守っていた二人も、今が好機と敵に向かっていく。
「やっ!」
「せいっ!」
黒装束の男達は未だ混乱から立ち直れておらず、あっさりとクローゼ達の攻撃をくらって気絶した。
さて、あとは…。
クローゼは残った二人の敵へと視線を向ける。すると、赤毛の男が敵に挟み撃ちされるような形になっていた。
「エステルさん!」
「おうっ!」
クローゼ達は手助けに向かおうとするが
「ふおがあぁぁぁ!フレイムスマッシュ!」