幻水
□贖罪の向こう 第七章
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「兄上が…縁談の話を受けるそうじゃ…。」
えっ…?
姫様…いまなんて…?
縁談の話を受ける…?
王子が…?
うそ!?
「いったいどういうことですか、姫様!?」
「言葉の通りじゃ…。兄上がそう申してきたのじゃ…。」
そんなの嘘です!
王子がそんなこと言うわけありません!
だって王子はルセリナちゃんのことが好きなはずなんですから…。
「言葉の通りじゃ…。兄上がそう申してきたのじゃ…。」
っ!?
姫様…なんて辛そうな御顔…
姫様が嘘を言ってるようには思えません…。
だとすると…
王子…本当なんですかぁ…?
「そんな…どうして…。」
「わらわのせいじゃ…。」
えっ?
「兄上が今回の話を受けたのはわらわのせいなのじゃ…。」
リムスレーアは辛そうに顔を歪め、その瞳にはうっすらと涙が滲んでいる。
姫様…?
「わらわが…、わらわがもっとしっかりしていれば、兄上が他国に婿にいく必要などないのじゃ…。わらわが…無力なばかりに…。」
リムスレーアは必死に涙を堪えながら、言葉を紡いでいく。