空の軌跡
□悪戯天使レン 第1話
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悪戯天使レン 第1話アガットの災難
わたしの名前はレン。元身喰らう蛇の執行者で『殲滅天使』なんて呼ばれていたわ。
え?何で元かって?
うふふ、それはレンは今では結社から足を洗って、ヨシュアとエステルの所にお世話になっているからよ。
「はぁ、退屈ねぇ。何か面白いことはないかしら…。」
今はすごく平和な日々を過ごしているのだけど、どうにも退屈でしょうがないわ。
ヨシュアもエステルもしょっちゅう外国に行っちゃうし、ヒゲのおじさんも仕事で滅多に帰ってこないし、レンは独りで家にいることが多い。
退屈しのぎにエステルが勧める釣りやヨシュアの勧める読書もやってみたけど、レンには合わないみたい。
もっと、こう刺激的な何かが欲しいところね。
「あっ、そうだ!ティータのところに遊びに行きましょ。」
そうね、それがいいわ。さあ、そうと決まれば早速行くわよ。
「うふふふふ、ティータに会うのも久しぶりかしら。今から楽しみねぇ。」
ニヤリと笑みを浮かべながら、レンは外へと飛び出していった。
「着いたわ。」
10分後、レンはツァイスの街へと到着していた。通常であればツァイスへはとても10分で来れる距離ではない。
しかし、レンはパテル=マテルをフルバーストで飛ばし、ツァイスまでやってきたのだ。
道中たくさんの人が驚いた顔で空を見上げていたが、そんなことはレンにはどうでもよかった。
今は一刻も早く目的地に着くことが先決だった。
「さーて、ティータは家にいるかしら?それとも中央工房?」
どちらにいるかはわからないが、レンはまずラッセル宅に向かうことにした。
「さーて、ティータはいるかしら…」
レンは気付かれないようにこっそりと家の中の様子を伺った。
そうしたのは、その方がティータのより驚いた顔が見れて、楽しそうだと考えたからだ。
「む、そういえばパテル=マテルで突撃しても面白かったかも…。む〜…。」
唇に人差し指を当て、考える。
「うん、そっちの方が面白そうね。でも今回はもうここまで着ちゃったから、次はそうすることにしましょう。」