SO3

□DNA 中編
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二人はしばらく笑いあっていたが、やがてフェイトは笑うのをやめて少し緊張した面持ちでマリアの顔をじっと見つめてきた。マリアもそれに気が付き笑うのを止める。

「えっとそれじゃあさ…僕と一緒に暮らさない?」

フェイトはマリアの顔色をうかがうようにおずおずと口を開いた。

「えっ…?」

「いやっ、ほらあれだって!僕もマリアと同じで静かに暮らしたいって思ってるしさ。それなら一人より二人のほうがいいだろ?」

フェイトは顔を赤くしながらあたふたと弁明を始める。しかしそんなフェイトの仕草はもうマリアの目には映っていなかった。一瞬で再び頭の中が真っ白になってしまう。

フェイトも自分と同じ気持ちことを考えていてくれた。そのことは素直に嬉しい。しかし、今のマリアにはその誘いに対する答えが見つからない。

気持ちの上では今すぐにでもフェイトに返事を返したい。でも、理性がそれを許さない。光の当たらない洞窟に迷い込んでしまった気分だ。

「マリア?」

「あ…ごめんなさい…。あの悪いんだけどしばらく考えさせてもらえるかしら?」

黙り込んでしまったマリアを見て、フェイトは不安げな表情でマリアの顔を覗き込んできた。マリアはフェイトとは目を合わせずに静かに考える時間が欲しいと告げる。

「わかった…。それじゃあ、お休みマリア。」

フェイトは何か言いたそうな顔をしていたが、しばらく黙った後静かに笑顔をつくり部屋を出ていった。

フェイトが部屋を出ていった後、マリアは全身をベッドにダイブさせる。

どうして…どうしてわたしたちは姉弟なの?姉弟でさえなかったら、あれほど嬉しい言葉はなかったはずなのに…。

フェイトと姉弟であるという事実

その事実がマリアの心に深く突き刺さってくる。マリアはベッドに顔を埋めて、声を押し殺し一人で泣き続けた。

「………なのよ…」

マリアはしばらく泣き続けていたが、やがてぼそりと何かを呟いた。

「…いったいなんなのよ!」

「遺伝子って何なの!?どこまでわたしたちの運命を翻弄すれば気がすむのよ!?ねえ!?」

誰もいない空間に向けて、マリアは一人大声で泣き散らした。当然ながら返事は返ってこない。

「いったいなんだっていうのよ…。」

消え入りそうなマリアの声だけが静かな部屋にただ響いていった。


DNA 中編 完
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