「墨村、これやるよ」
「?? なに、写真?? 」
田端から渡されたのは一枚の写真。
「ぇ、これって…」
「そ、あいつの写真。たまたま撮れたからやるよ。他の奴らには秘密な」
得に女子には、と付け足し。
オレの気持ちを知ってか知らずか、否、知ってるだろうな。
そうでなければ写真を渡すなんてことしないだろう。
「でも大丈夫かな…もし持ってるって知られたら」
「墨村がドヂ踏まなきゃ平気だって」
本当に大丈夫なのだろうか…
あいつのことだから知ったらすっげえ怒るに決まってる。
「別に返してくれてもいいけど??」
「それは嫌」
せっかく貰ったのに返すなんて勿体ないこと出来ない。
「頑張って隠し通せよ(バレたら俺も酷いめにあう)」
「おう」
見つかったら取られるか破られるもんな。
それだけは絶対阻止しないと。
「で、これはなんだ??」
早速ばれたー!!??(泣)
何故志々尾の手にあるのか、大切にしようと思ったのに学校に忘れた。
夜烏森に行った時に取りに行けばいい。
そう思っていたらタイミングが良すぎるくらい、写真を見ていた時会ってしまった。
そして写っている人物を見られ取り上げられた、というわけだ。
「しゃ、写真」
「見ればわかる。何故俺の写真があるんだ?」
「それは……その、」
そんなの言えるわけがない。
田端から貰ったと言ったら田端が死ぬ。
どうすれば…
「捨てるぞ」
「ッ、だめ!!」
持ち去ろうとする志々尾の腕を掴んだ。
「墨村? 」
「ぁ…」
必至に止める姿に志々尾は驚く。
「ご、ごめ…」
「これ、どうするつもりだったんだ?」
「…とっとく」
「あっても意味無いだろ」
「ある!!」
力強くいった。
もう嘘はつけないと思った。
「だって、だってオレっ」
「――――別に」
肝心なところを言う前に志々尾が何か言い出した。
「別に持ってるのは、かまわない。でも学校に置いたままなのは…」
「持ってていいの…??」
正直見付かったら取り上げられるって思ってた。
怒られて破られるのも覚悟してた。
「ただの写真だろ??」
志々尾にとってはただの写真。
オレにとっては大切な宝物。
「…ありがと」
一生大切にするよ。
拍手有難うございます!