リクエスト
□ゼロ:僕とあの日と先輩と笑顔
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僕は今極度の緊張の中でいた。
スポーツ名門のベゴニア学園。
ベゴニアという由来は花らしく、花言葉は確か『至福の日々』
スポーツ名門校とは思えないような名前だが、僕はこの名前が気に入って此処に来た。
桜が散る中(敷地内にこんなに桜を植えて何がしたいのだろう・・・?)僕は歩いていた。
入学式が始まってしまう、そう思った瞬間だった。
「あなた。」
不意に声をかけられる。
振り向くと、桜の薄らピンクとは違う美しい金髪に近い茶色の髪をした人がいた。
美しい容姿に、高めの声音。
アンティーク人形を思わせるような笑顔。
何が起こったのか理解できなかった僕は言葉を返せずにいた。
「ヤマザクラの花言葉を、知っていますか?」
優しく微笑み、僕に近づく。
そっと、僕の髪についた桜の花びらをとってわらう。
「あなたにほほえむ、です。」
「あら、すごいですね。あなたが初めてよ、いままででヤマザクラの花言葉が言えたのは。」
この学園に植えられているのは山桜なのだと彼女は笑う。
上級生の先輩らしい彼女は、そっと微笑んだ。
「急で悪いのだけれど、貴方誕生日は?」
「え・・・?5月27日、です。」
「そう。」
少しだけ頬を桜色に染めて、彼女は嬉しそうにもう一度微笑んだ。
「5月27日の誕生花は ローズマリー。」
「へ・・・?」
呆気を取られているうちに、彼女は背伸びをして僕の耳元で妖艶にささやいた。
「あなたは私を蘇らせる」
言葉の意味は、わからなかった。