乱世
□壊れ物
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慌てて城に戻ると、まずは部下から泣きながら喜ばれた。
きっと戻らない俺に死を予感していたのだろう。
事実、俺は死にかけていた。
―・・・この男に救われなければ。
「オメェ等、俺の部屋に布団を敷いてくれ!!! コイツは命の恩人だ!!!」
そう皆に聞こえるように叫ぶと、部下達は目を丸くした。
確かに、どう考えても俺がコイツを助けているようにしか見えないだろう。
仕方なく俺は部下達に告げた。
「―・・・いいか、他言無用だ。・・・コイツは『代わり身』らしい。・・・死にかけの俺を自分の痛みとして引き受けてくれた。」
『代わり身』の事は良く知らないが、一連を考えればそうなる。
「マジすかアニキ?!じゃあ丁重に扱わねぇと!!!」
「テメェの状態と引き換えするたぁ、大した根性ありやすね・・・。」
「―・・・確かに、な。」
―・・・それにしても・・・。
布団に横たえた男をじっと見つめる。
出会った時、男は明らかに俺を軽蔑した眼差しで見ていた。
だがそれがどうしたわけか、男は俺を助けてくれた。
何故・・・?
俺は未だ苦しむ男の頬に手を添えた。
添える事しか出来なかった。
「―・・・こんなのはもう御免だぜ。」
滑らかな肌を触っていると、突然、男が咳き込んだ。
「ッゲホ!!! くっ・・・」