乱世
□罪
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―・・・政宗が来てから一月あたりが過ぎた。
相変わらず政宗の行動は予測不能だが、当初よりはだいぶマシになった。
才能があったのか料理も上達し、今は誰よりも美味いものを作る。
ただ、相変わらずなのは夜での姿だ。
毎晩重ねてはいるが、恥じらう様子は初めのまま変わりない。
俺としては嬉しい限りなのだが、最近は政宗に感化され、俺まで恥ずかしくなってくるから参ったものだ。
「―・・・ふぅ。」
俺は開け放たれた襖から覗く庭を見た。
庭ではすっかり仲良くなった猫と遊んでいる政宗が、猫と一緒に池の鯉をもてあそんでいた。
あれでは猫に鯉の捕り方を教えられているようにしか見えない。
「政宗ー!!!あんま鯉をイジメてくれるな?」
「・・・えー。でもコイツ楽しそうだぜ?」
政宗は少し膨れて猫を指差した。
「鯉が可哀想だろー!!!」
「・・・解った―・・・かも。」
名残惜しそうに鯉を猫と一緒に眺める政宗につい小さく笑ってしまった。
最近は城下も安定している。
気になる動きはあるが、まぁ今はまだ時期ではない。
―・・・穏やかなものだ。
「元親ッ!!!」
「アン?」
政宗は険しい顔で素早く部屋に入ると、与えていた護身用の刀を天井に突き刺した。