新宿歌舞伎町パロ
□侵食
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『闇』は食らう存在
『闇』は侵す存在
『闇』は染める存在
黒々と黒光りする空の下、下賤な光が街をただただ明るく染める
此処は新宿、夜の街
夜の街にあって、光の街だ
眩しい光に集まる下賤な会話、下賤な笑顔
嗚呼、今日もこの街に闇が訪れる
−・・・
「もう此処でいいぜ?」
店を出て、駅まで元親がわざわざ送ってくれた。
足元は確かに心許なく多少ふらつきはするものの、一人で帰る事位は出来る。
だがそんな俺の事などお構いなしに、元親は組んでいる肩を放そうとしない。
「ンなふらつきながら言われても説得力ねぇぜ?」
そりゃまぁ、確かにそうだろう。
酔っ払いの言葉に一々返答したって意味ねぇもんな。
苦笑する元親に、手をフラフラさせて笑った。
「大丈夫って言ってんだろ?しつこい野郎は嫌われるぜ?」
そう言ってケタケタ笑っていれば、呆れた深いため息が元親から漏れた。
「・・・はぁ、矢っ張り家まで送ってく」
「ah〜n?送り狼にでもなるつもりかぃ?言っとくが俺ァ易々とは食われねぇぜ?」
ニヤリと挑発的に笑うと、元親はギロッと俺を睨んだ。
なる程、確かに喧嘩もしそうな面しやがる。
鬼迫溢れる、と当て字した方が解りやすい。
その辺のチンピラなら一瞬で逃げ出しちまうだろうな。
「−・・・ンな情けねぇ事しねぇよ。ただアンタが心配なだけだ。・・・ましてやそんな顔でふらふら歩かれたんじゃな?」
一方の手は俺の頬に添え、もう一方の手は俺の髪を梳くように優しくゆっくりと撫でる。
その暖かさと気持ち良さに、自然と目蓋が落ちてきてしっかりしていた意識に霞がかかる。
「・・・な? 家まで送らせろよ、アンタを一人には出来ねぇ」
喜怒哀楽の激しい男だ。
今日だけで全部見ちまった
。
・・・だがそれも悪くはない
暇しないで済んだから
それだけ・・・
俺は完全に閉じてしまった目蓋に気付きつつも開けるのが面倒になっていた。
「・・・まさむね」
唇に柔らかい気持ちの良い感触がゆっくりと伝わってくる。
生温く合わさる感覚は、元からそうだった様にぴったりとひっついて離れない
優しく解すように唇を甘噛みされ、チュゥッと吸われる
あぁ、俺キスされてんのか。
しかもこんな横道で
−・・・横道で・・・キス?
「〜〜ッ!!!///」
一気に目が覚め、慌てて元親から離れる
「なっ///こんな・・・っ///」
もはや言葉もでない
パクパクと口を無駄に動かしていると、元親は得意気に笑った
「送り狼じゃ…ないだろ?」
ニヤリと笑うコイツを殴り飛ばしたいが、羞恥で体温が上がり、しっかりした意識も力も俺から抜け落ちていく。
酒とコイツに意識が侵食されていく感じだ
「・・・ンの野郎っ///」
「くくっ、ほら帰るぞ?」
普通に肩を抱いて歩き出す元親に、そう言えばと質問した
「・・・店は?」
「あン? んなモン急いで戻ればいいだろ」
いいのだろうか?
いや、良くはないだろう
No,1不在のホストクラブってどうよ…
まぁ俺には関係ねぇ話だけど
コイツが怒られようと知ったこっちゃねぇ
そう考えると、意地悪く家まで送らせてみるのも悪くないと思った