親政学パロ

□晩飯
1ページ/2ページ

今日は何を作ればいいか。
そんな事を5時間目あたりから考え始める生活に随分と慣れてしまった。
先週は何を作ったとか、最近何が安いだとか、冷蔵庫に何が残っているだとか、賞味期限が近いとか。
すっかり所帯染みている。

「・・・。」

何でだ?
確かに元親はそんなに料理する方ではないだろうが、出来るはずだ。
頼めばしてくれるだろうし、頼まなくてもして欲しい。

−・・・というか、しやがれ。

何で毎回、俺が作る羽目になるんだ?
そこで思考を中断させるように授業終了の合図が鳴った。

俺はさっさと鞄に教科書やらを詰め込んでいく。
多分、10もしない内に迎えが来るから。
「じゃ、筆頭部活行ってきます!!!」
「では筆頭また明日に!!!」
「筆頭ぉー!!!さよーならぁあ!!!」
大きく手をぶんぶん振り回すクラスメイトに軽く手を振りながら、政宗は最後に鞄のチャックを閉める。

「・・・オメェ先公か?」
「an?」
入り口のドアに片手をついて、元親が可笑しそうにこちらを見ていた。
「帰ろうぜ、政宗。」
「あぁ。」
俺は立ち上がり元親の所へ向かった。
すると、元親は俺に右の手の平を差し出した。
意味も解らず差し出されたその上に自分の左手を重ねると、そのまま持ち上げられ手の甲にキスをされた。
「俺のお姫様は皆に好かれてっから困ンな。 でも、俺のだぜ?」
「就職先はホストだな。」
元親の頭を鞄で一殴りし、俺はさっさと歩きだした。
こういうシチュエーションにも大分慣れてしまった。
確かに恥ずかしいが、今は誰も居なかったのでまぁ大丈夫。
こんな時にうちの野郎共が部活熱心で良かったと思う。
「あ、元親。 確か今日何か安売りしてなかったか?」
若干後ろで頭を擦る元親にそう聞いた。
「ア?・・・あーアレだ。・・・卵お一人様ってやつ。」
「んじゃ、買って帰るか。」
「おう!!! で、今日の飯は何作ンだvV?」
「a〜・・・今日は・・・」
思考が一瞬止まった。
「つうかテメェがたまには作りやがれ!!!」
そう、いつもコイツがそう言いだすから毎回俺が作っている。
「俺が?・・・でも、俺はオメェの手料理が食いてぇんだけどよぉ・・・」
「却下。 大体今まで作ってくれた礼もねぇだろ!!!」
「夜にしっかり返してんじゃねぇか? 物足りねぇなら思う存分−」
「一回死ねテメェは!!!///」
「体の相性は抜群だろ?何が不満−」
「その話題からまず離れろ馬鹿ッ/// 俺はたまには作ってくれって言ってんだよ、そんだけ!!!」
「−・・・でも・・・料理なぁ。一品モノしか出来ねぇけどいいのか?」
「作ってくれんなら何でもいいぜ。」
「はぁ・・・今日はオメェの愛のこもった料理が食えねぇのかぁ。」
「その分テメェが込めやがれ。・・・てか、愛なんざ普段も込めてねぇからな!!!///」
「はいはいvV」
「本ッ当、腹立つ奴だなテメェは!!!///」
「オメェは可愛い奴だよvV」
「黙れッ///」
スーパーに行きながら、漸く元親に今日の晩飯を作って貰える約束を取り付けた。
しかし、これから毎回作って貰えることを一瞬期待したが、先程の凹み具合から行くと今日一日なんだろうと、俺は密かにため息を吐いた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ