親政学パロ

□一緒に (完)
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俺と政宗は、高校に入学してからずっと一緒に生活している。

同じ寮で、同じクラスで、同じ帰宅部。
性格も似たようなもんだから、休み時間だっていつも一緒だ。



いつものように、政宗の作ってくれた朝食を食べて、学校への道をくだらない話で過ごす。
 ふと、会話の途切れに政宗の顔をチラリと見た。
珍しく・・・寂しそうな、辛そうな表情に心が軋んだ。

「・・・どうかしたのか、政宗?」
「ん?−・・・いや、別に。」

そう言って、普段どおりの表情に戻ったから、見間違えたんじゃねぇかと思った。
だって、今までずっと幸せだったから。




体育の授業はバスケだった。
俺の得意分野で、政宗は俺のプレーを見ンのが凄く好きだと言ってくれたから、気合いの入れ様は断然凄い。

「しっかり見てろよ政宗ー!!!」
そう叫んで手を振れば、楽しそうに政宗も振り返す。

難なく相手を抜き去って、ドリブルで一気に走り抜けると、思いっきりダンクを決めてやった。
 すっきりして、自分でもコレは決まったなぁッて思って政宗を振り向いた。

すると政宗は・・・また、寂しそうな、辛そうな顔をしていた。
それを見て、俺はまた心の中で質問してみる。

『・・・どうした、政宗?』

その声が届いたとは思わないが、政宗は俺に気付くと、笑顔で手を振ってきた。

何でもないとでも言いたそうに。

でも、笑顔で手を振ってくれたから、俺はまた笑顔で政宗に手を振り返した。




 屋上でいつも二人でご飯を食べる。
勿論、政宗が作ってくれた美味しい弁当。
政宗の手料理は、食べる度に俺を幸せにしてくれるから大好きだ。
でも、一緒に食べるこの時間が何よりも大好きで仕方ない。

幸せってきっとこんなだ。

「んーvV スゲー美味ぇ。」
「あたりめぇだろ?」
お互いにくすくす笑いあいながら、太陽の下、ご飯を食べる。
俺はジュースを口にはこんだ。
その時にチラリと見た政宗の顔は、今日3回目になるだろうか、寂しそうな、辛そうな顔をしていた。
「・・・どうかしたのか、政宗?」
「ん? 別に。 それより、髪に糸くっついてるぜ?」
可笑しそうに笑って、俺の髪から優しく糸を取ってくれる手が、あまりにも心地よくて、俺も笑った。

でも、何だか不安だった。 



 帰り道、学校でダベってたら、いつの間にか太陽がオレンジ色に変わっていて、俺達は漸く帰ることにした。

「今日、何かテレビあったか?」
「確か新作ホラーがどうとかCMしてなかったか?」
「・・・見るもんねぇな。」
「お、そっち系苦手か政宗はvV」
「煩ぇ!!!」

ケタケタ笑っていれば、またふっと寂しそうな、辛そうな顔をされた。

「・・・政宗、どうしたんだ? 何か今日変だぜ?」
俺がそう言うと、困ったように政宗は笑って、でも俺の顔をしっかり見てくれた。
「少し・・・不安になっただけだ。」
「不安?」
首を傾けて政宗に聞けば、政宗は俯いてポツリと言葉を落とした。
「−・・・ずっと、一緒にいれたらいいのにって思ってよ。」
その言葉に、俺は目を丸くした。
その後から心臓がドキドキして、顔が赤くなってきて、熱い気持ちが込み上げてきた。
「今日、ずっとンな事考えてたのかよ?」
「仕方ねぇだろ、思っちまったんだからよッ///」
真っ赤になって睨んでくる政宗に、俺は頬が緩んでいると自覚しながらも、笑った。
「目ぇ瞑って、もう一回思ってみろよ?」
「・・・何でだ?」
「いいから。」
不思議がる政宗にそう促すと、大人しく目を瞑って、考えているようだった。
そんな政宗を、俺は優しく抱き締めると、耳元で優しく囁いた。

「・・・いつまでも一緒だ、政宗。 絶対に離れたりしねぇから、そんなくだらねぇ事で心配すんなよ。」
ぎゅぅっと抱き締めているうちに、どんどん感情が沸き上がってくる。
「本当、かよ・・・?」
心配そうに聞いてくる政宗の顔を見つめて、俺は笑った。

「だって俺、オメェが好きだって気付いちまったからよ。 どんな事があっても、手放すつもりはねぇぜ?」
「・・・サンキュ///」

政宗は俯いちまったから顔は見れなかったが、しっかり捕まれた俺のYシャツと、その真っ赤な耳と首が全てを物語っていて、幸せ過ぎてまたぎゅぅぎゅぅと抱き締めた。


大好き。
いつまでも一緒にこの気持ちを共有していきたいと、二人で抱き締めあいながら夕日に願った。


。。。完。。。
 

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