親政BSR

□喧嘩上等 (完)
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 さて、どうしたものかと胡坐をかいて思案しているのは、長曾我部軍が大将、長曾我部元親である。
「一体ぇ、目的は何なんだぁ?」
 一人そうゴチると元親は頭を掻いて空を仰いだ。

空は晴天。
今日は大漁旗でも揚げて船を出したい気分でいたとゆうのに。
「はぁ。」
元親はため息を吐いて戦場へ向かった。



昼過ぎの事である。
これから皆を引き連れ、釣りにでも出ようかと考えていた矢先、ある男が門を叩いた。
・・・いや、叩いたというか勝手に入ってきたのだが。

「おいおい、ンな驚くんじゃねぇよ。ま、knockすんの忘れたのは悪かったがなぁ。だが喧嘩しにきた訳じゃねぇぜ?」

 そう言いながら一人の男が乱入してきた。
当初はただの大馬鹿野郎だと思って放っておいたが、どうやらそん所そこらの大馬鹿野郎ではないようだった。

−・・・これでも自軍の部下はそれ相応に鍛えさせてきたつもりだ。
それをこの男はさも詰まらなさそうに斬り進んでくる。

「温い戦は好きじゃねぇ。・・・大将居ンだろ?本気、見せてみろよな?」

そう言ってとうとう自分の所までやって来た男を見れば−・・・
「ガキだぁ?!!!」
 それはどう考えても20歳にも満たないような、線の細い眼帯の男だった。
「ah?! テメェ、初対面の相手を餓鬼呼ばわりとは教育がなってねぇな。小十郎がいたら死んでるぜ?」
デカイ態度にふざけた口調。
そして−・・・6本の刀?

「−・・・じゃ、さっそくPartyを始めるとしようぜ、長曾我部元親−・・・いや、西海の鬼。」
「アァン?身のほど知らずの田舎モンがッ−・・・この長曾我部元親を、楽しませろよぉ?」
「テメェも田舎者だろ。」
「ンだと?!この重機は最新技術だぜ?田舎モンのアンタには解らねぇだろうがなぁ。」
「〜♪rbotか面白ぇ、上等だ!!」
「へぇ・・・アンタ鬼が恐くねぇのか。・・・度胸だけはあるようだな。」
元親は肩に武器を担ぎあげ、その男に近づいた。
男は元親が担いだ武器を興味深げに下から上までジックリ見回すと、人懐っこそうな笑みを向けた。
「なぁ、その武器・・・変わった形だな。」
「オメェみてぇなチビにゃ扱えねぇ代物だぜ?」
「そいつぁ、楽しみだ。」
お互い武器を構えあう。
「−・・・オメェ、名前は?」
「ah〜?言ってなかったか?」
「無断で敷居跨いできたじゃねぇか。・・・なんてぇんだよ。」
そう言うと、男はニヤリと笑った。
「奥−・・・」


ダダダダダダ−・・・


「・・・何だぁ?」
馬の高い蹄の音がこちらに向かってくる。

その馬は元親とその男の間を分けるように、物凄い勢いで入り込んできた。
「政宗様ッ!!」
馬に乗った男は、餓鬼の方とは違い、年齢が俺よりも若干高そうに見える。
急いできたのか、息が切れ気味だ。

「ゥ゛・・・小十郎・・・・・・ッてぅおお?!!!」
馬に乗ってきた男は、餓鬼の腕を掴みそのまま馬に引き釣り上げた。
そうして、元親を睨んだ。
「テメェ・・・今度政宗様に手ぇ出してみろ。 この城ごとぶッ潰してやる。」
「・・・は?」
一瞬、何の意味だかさっぱり解らなかった。いや、今も解りそうで解らないでいる。
「・・・政宗様、お怪我は?」
「a・・・ah・・・まぁあ・・その・・・大丈夫だ。」
「そうですか、なら−・・・さっさと床に戻って養生して下さい!!風邪は引き始めが肝心だと何度言ったらッ!!」
「折角ここまできて・・・」
「ここまで来て風邪を召されたのは何処の誰ですか!」
「u"・・・。」
「解ったら大人しくしていて下さい。どれだけ心配した事か・・・。」
男は深くため息を吐き出すと、餓鬼に向けていた視線を再度俺に戻し、先程よりさらに視線を厳しいものにし、俺を睨んできた。

「・・・今回は引いてやるが、この借りは必ず返す。・・・それまで精々人生楽しむ事だな。」

馬はきびすを返し、元親に後ろを向けた。
小十郎とやらの腕の中に入るように前に乗せられた餓鬼は、横からヒョィッと顔を出し、俺を振り返った。

「悪ぃな長曾我部!!今度はテメェがこっちまで来い。 盛大なpartyを用意しといてやるぜぇ?」
「政宗様!!!」
「解ってる、落ちねぇよ。」
「全く、貴方は・・・。」


ダダダダダダ−・・・


二人を乗せた馬はそのまま去っていった。
その後は−・・・ただただ静かで、今までの出来事がまるで白昼夢のように思われる。



「てか・・・・・・テメェから乗り込んできたンだろうがぁぁああああ!!!」

ぜぇはぁぜぇはぁ−・・・と、息を切らして叫んだ所で、誰に聞かれるでもなし。


「−・・・本当、何しにきたんだぁ?」
元親はドタッと地面に腰を降ろして空を見上げた。

やっぱり空は晴天だった。
今からでも遅くはない、船でも出そう。


「『政宗様』・・・ねぇ。」

クククと、何処か楽しそうに笑う元親がそこにいた。



完−
 

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