親政BSR

□戯言 (完)
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「暑ぃ・・・。」
「政宗様、そうダレていては締まりがつきません。」
「a〜?小十郎がしっかり締めてンだから大丈夫だろ?」
「そうは言いましても−・・・」

8月も半ばを過ぎ、夏の暑さは最高潮から若干ずれた時期だが、それでも今日は非常に暑い日だった。
伊達政宗は、錦鯉が泳ぐ池に着流しで両足を突っ込み、内輪を扇いでいた。
その後ろでは、相も変わらずきっちりと着物を着こなしている片倉小十郎が控えている。
そんな二人の元に、部下がバタバタと駆け足でやってきた。

「ひ、ひ・・・ッ筆頭!!!小十郎様ァー!!!」
「an?」
「・・・政宗様の前だ。しっかり話さねぇか。」
片倉は一睨みして部下を見ると、部下はゴクンと唾を飲み込み、深呼吸を一回するともう一度話しだした。

「はッ、実は長曾我部元親殿がいらっしゃったのですが・・・その・・・、乗り込みに??」
「またあのクソ餓鬼か。」
片倉は吐き捨てるようにそう言ったが、政宗は何か考え込んでいた。
「−・・・奴とは同盟を結んだばかりのはずだ。 それをすぐに破棄する程馬鹿じゃねぇし、意味がねぇ。」
「野郎の考えは解りませんが−・・・甚だ無礼極まりない輩というのは解りましょう。」
「まぁな。−・・・で、要求はなんだ?この城の制圧か、俺の首か?」
「はぁ、それが・・・意味がよく解らなくて、ですね?」
「a〜?何だ、言ってみな。」
「はい、確か−・・・」



『独眼竜、伊達政宗ぇええ!!』

何処からか、元親が叫んでいる声が聞こえてきた。
「・・・馬鹿デケェ声だな、オイ」
政宗は内輪を扇ぎながら、もう一方の手で鯉に餌をやっている。
「全く、品の無い声だ。小十郎が早々に黙らせに行って参りましょう。」
小十郎は政宗に一礼するとクルリと向きをかえ、歩きだした。

『オメェを嫁に貰いにきたぁああああ!!!』



−・・・ピタッ。


政宗の扇いでいる腕が、餌をやっていた手が・・・片倉の歩みがピタリと止まった。


「・・・政宗様、前言撤回させて頂きます。 この小十郎、何としてでもあのクソ餓鬼を討ち取って参りましょう。」
「あぁ・・・、思いっきり頼むわ小十郎。 ついでに重機も打ち壊してこい。」
「無論、言われるまでもございません。政宗様は此処でお待ちを。」
「あぁ、頼むぜ小十郎。俺ァんな戯言に付き合う気力はねぇ。・・・ンでこんな暑ぃ日に来るか意味解んねぇし。」

片倉と部下は元親を討つべく、門へと向かった。
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