親政BSR

□落ちる(完)
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某時刻−・・・
「〜♪ いいねぇ、家康!!!コイツァさっさとザビーん所に着きそうだぜ!!!」
「だろぉだろぉ!!!そーだろぉ!!!直通に設定したからの、忠勝は今一番早い速度だぞ!!!」
伊達政宗と徳川家康は忠勝の肩に乗り、ザビーの所に向かうために空を飛んでいた。
「Yaーhaー!!!いいぜ忠勝!」以前から空を飛んでみたいと思っていた政宗は、空の上で楽しそうにはしゃいでいた。
「あッ!!!コラッ、そんなに騒ぐと落ち−」
「a??」
「あ。」
軽く膝立ちになったところ、膝が滑って態勢が崩れた。
政宗の体はゆっくりと傾き、そして落ちていった。
「ぎゃぁぁぁああ?!!!」
「ど、独眼竜ぅぅぁああ!!!忠勝ッただかぁぁつ、低空飛行で独眼竜を助けるのだ!!!−・・・た、忠勝?・・・ッてしまったぁぁあ直通だったわぁぁああ!!!」
忠勝の上では家康が頭を抱えてパニックになっていた。
そしてその下には落下中の政宗が−・・・



ドボンッ!!!



大きな波柱を立て、どうやら政宗は無事に海に落ちたようだ。
「着いたら直ぐに助けに戻るから浮いとけよぉおお、独眼竜ぅぅ!!!」
届いているのかいないのかも解らないが、取り敢えずそう言うと家康は忠勝のスピードを上げた。




同某時刻−・・・



「−・・・いい天気だ・・・。」
長曾我部元親は、船から糸を垂らし釣りをのんびりと楽しんでいた。


ひゅ〜・・・


「あン?」
不意に見上げた空に、何かがこちらに向かって落ちて来るのが見えた。



ドボンッ!!!

「ぅおおぉお?!!!!な、何だぁ?!?!!」
目の前で派手に波柱をあげたモノに、堪らず声をあげた。
「ゲホッ、オラァァアア家やッ・・・ゲホッ・・・忠ッ・・・勝・・・」
波柱が納まると、その中心で藻掻いているモノが見えた。
「・・・ぁー・・・人?? ッて、呑気に言ってる場合じゃねぇな。」
必死に藻掻いてはいるものの、体はどんどんと沈んで行っている。
元親は竿を戦闘用のモノに変えると、その人物に向けて放った。
「ぅし、かかった!!!」
手応えを感じるとそれを一気に引き上げた。
「ッ重てぇ!!!」
思いのほか重いそれに、腹に力が入る。

引き上がったモノが自分の懐に落ちて来るのを捕まえると、元親は眉をひそめた。

「何だぁ?・・・ゴロゴロ刀が6本も・・・。しかもコイツァ素人が使えるようなモンじゃねぇ・・・。」
真っ先に目についたのは人ではなく、腰に付いているやたらと重そうな刀だった。
「コイツが重さの原因か。・・・にしても−・・・コレをこの男が使うッてのかぃ?」
海に落ちてきた人物を横たわらせると、元親はマジマジとその人物を見た。
「へぇ〜、随分としっかりした身なりしてやがる。・・・しかし、何処のどいつだ?」
青い羽織に厳重な装備は、戦人だとすぐに解った。
しかし、この辺りでは見かけない青い羽織は、何処の者なのかさっぱりと見当がつかない。
取り敢えず、とばかりに腰に付いている刀を外してやろうと手をかければ、バチバチと電流が流れた。
「ッ?!・・・はぁ〜、なるほど−・・・コイツはいぃ代物だ。」
抜き出した刀を光に当てると、電流とともにキラキラと輝いた。
「いぃねぇ・・・、助けた礼にコイツを頂くとするか。」
にやりと笑うと、元親は横たわる男の首元を掴み上げ、無理矢理状態を起こさせた。
「オイッ、起きな。」
「・・・ゥ・・・a・・・」
未だ首を垂れる男の顔を、顎を掴み上を向かせると、前髪で顔が見えなくなっているそれを手で払った。
「−・・・。」

焦点の合っていない瞳が、うっすらと開いていた。

白い。
そして−・・・言いようの無い感覚。
それが第一印象だった。

「・・・ッく、あの・・・馬ッ・・・鹿やろ・・・!!!」
薄く開いた口からは、開口一番に誰かにあてた愚痴のようなものが飛び出した。
「くく、そんだけ元気がありゃぁ、心配はねぇな。」
「an? 誰だオメェ。」
男は、俺の手をバシッと払いのけると、睨み付けてきた。
「おぃおぃ、アンタァ・・・。助けられたッて言うのに、それが恩人に対する態度かぃ?」
「・・・助けた?−・・・あぁ、そうか・・・。Oh、thanks。」
「はぁ???」
「すまねぇな、助けて貰ってよ。この礼は近いうちに必ずすっから。」
「礼ならこの刀でいいぜぇ♪」
「a? haha、アンタにコイツは使えねぇよ。 コイツは1本で使うんじゃねぇ・・・。」
男はゆるりと立ち上がると、一気に6本抜き出した。
「6刀流・・・?」
「Yes!!!どうだ、アンタにゃ扱えねぇだろ?」
自慢げにそう見下ろす男に、俺は見上げて笑ってやった。
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