親政BSR

□こんな出会い(完)
1ページ/4ページ

「くっそ!!!」

所は長曾我部軍本城。
そこを今、秀吉の軍勢が奇襲をかけ、長曾我部軍を押している。
当初は五分五分だった戦況も、右腕である竹中の巧みな伏兵により、3:7程まで落ち、非常に厳しい状況だ。

「鬼を−・・・舐めンじゃねぇぞ。」
長曾我部元親は戦前にて戦をしていた。
しかし進軍は竹中の策によって思うようには進まない。
元より元親は部下と足並みを揃えて進軍する事を基本としていた。
その事もあり、今回の戦は長期戦を強いられるという事実に元親は心の中で舌打ちした。


「アニキィー!!!」
部下の呼ぶ声に振り向いてみれば、後方を守っていた一人の部下が駆け足でこちらに近づいてくる。
「どうした!!!」
「き、奇襲ですアニキ!!!」
「−チッ、後ろにまで手ぇ回すたぁいけすかねぇ・・・」
元親が下がろうときびすを返すと、部下はそれを制した。
「待ってくださいアニキ!!!それ、何ですがね?・・・どうも変なんスよ。」
「あン?」
「秀吉の軍でも、同盟軍でもなさそうなんでさぁ。しかも、無理矢理うちの兵を手当て・・・というか介抱してるんスよ・・・。」
「・・・どんな奴等だそりゃ。」
「見たこともない青い羽織着てる奴らで、その大将がまた餓鬼なんですよ!!!」
「・・・餓鬼?」
「生意気そうな餓鬼が指示出してましたから多分。そろそろ追い付いて来ると思いますが−・・・」
「・・・何がしてぇのか解らねぇが、取り敢えず敵じゃねぇみてぇだな。」
軍で来ていると言う事は、何処かの大名か武将だろう。
しかし・・・部下が解らない軍と言うことは、少なくてもこの辺りの軍勢ではないはずだ。
だが、遠く離れた所からわざわざ来ると言う事も難しい。
元親は首を傾けて考えていると、後ろから無数の馬のヒズメの音が聞こえてきた。

見れば青い羽織を纏った連中がこちらに向かってくる所だった。
自軍の旗を振りかざし、無駄に馬を跳ねらせながら来るそれに、元親は呆気に取られる。
そうしてその青い軍が自分の元へと追い付いてきた。
その先頭に、眼帯を付けた若い男が綱を取っている。
そして俺の隣まで来ると、見下ろすように俺を見た。

「アンタが此処の大将か?」
「そう言うアンタはコイツ等の頭か?随分と若ぇじゃねぇか。」
「ha!!!年寄りにゃこの軍は纏められねぇよ。」
そう言いながら後ろに目線をやった。
俺もつられて目線を後ろに移すと、確かにコイツの軍は賊っぽい荒々しさが見て取れる。
割りと海賊向きかもしれない。
そんな事を考えていると、また声をかけられた。
「ここが戦前か?・・・随分とSlow paceじゃねぇか。」
「あ?−・・・何だ??」
「aー・・・まぁいい。」
偉そうにそう言うと、器用に馬を翻し後ろの部下に向かって叫んだ。
「Hay guys!!! 俺は先に行くぜ。オメェ等はpartyでも楽しみながら登ってきな!!!」
「Yaー!!!」
「・・・じゃ、アンタ等は怪我人の世話と後ろでも守っときな。俺があの猿を倒してやっからよ。」
「ち、ちょっと待ちな!!!オメェ、部下はどうすんだよ?!」
「ah〜?だから言ったろ。『楽しみながら登って来い』てな?」
「本気かよ?!」
「煩ぇなぁ!!!黙って俺に付いてきやがれ!!!−Haッ!!!」
男はそう言うと、一人敵陣へと馬を走らせて消えていった。
「−・・・正気かアイツ。」
呆れながら消えた先を見ていれば、後ろから次々と青い羽織を纏った連中が自分を追越し、敵を倒して行っている。
「オラオラオラァァア!!!伊達軍を舐めンじゃねーぞこらー!!!」
「筆頭ぉー!!!今行きますからぁぁああ!!!」
「今日もBARIBARIスねー筆頭ぉー!!!」
「だぁぁああ!!!この距離感がもどかしいぜ筆頭ぉー!!!」
思い思いに叫びながら倒していく様は、酷く滑稽だが、何故だか安心させられた。
「はっ、随分と楽しそうに暴れやがって。−・・・オイ、野郎共!!!オメェ等も負けてんじゃねぇぞ!!!」
『アニキィー!!!』
「オメェ等もあね兄さん達に続いて暴れてやんな!!!気が合いそうじゃねぇか。」
「そうッすね!!!何だか楽しくなってきやした!!!」
「強引だが手当てしてもらったみたいですしね。」
「助けて貰ってばっかじゃ格好がつきませんぜ!!!」
「−・・・あぁ、守だけってのは性に合わねぇ。」
部下達を微笑ましげに見ると、元親は敵中へ居るであろう男の方を見上げた。


気丈に振る舞ってはいたが、疲労感が確かにあった。
あの跳ねッ返りぶりでは、部下の前で疲れた等とは言えなさそうだ。
「なぁ、オメェ等−・・・」
「アニキは、さっきのガキんちょの所に行ってください!!!」
「言われっぱなしはダメですぜアニキ♪」
「結構、気が合いそうでさしね!!!」
「俺等は大丈夫です。アニキの部下ですから。」
「−・・・ありがとな。アイツが・・・ちょいッと気になるもんでよ。でもオメェ等も無理すんなよ?」
「解ってます!!!ささ、追い付かなくなっちまいますぜ?」
「おぅ、じゃ行ッてくらァ!!!」

元親は武器に乗って男の元へ急いだ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ