親政BSR

□元親クリア後
1ページ/7ページ

「ha、約束だァ−・・・好きなモン・・・持って、き・・な・・・」
伊達政宗は声を絞りだすようにそう言うと、バタンッと崩れ落ちた。

「・・・。」
崩れ落ちる様をじっと見ていた長曾我部元親は、崩れ落ちた政宗に近づくと鞘に納まっている刀を抜き出した。
「へぇ。」
見た目の重さと違い、持てばその軽さに目を見張った。
それを太陽に当てれば、光り輝き眩ゆく反射する。
それは崩れ落ちた男の眼光にも似たものがあった。


・・・にしても、6本揃いたァ珍しい。

刀の威力、軽さといい上等な代物を手にした喜びに口元が緩む。

「竜の宝、確かに頂いたぜ?」
「ゥ・・・。」
「−・・・。」
小さく呻く政宗を見下ろすと、男の顔をよく見てなかったと思い、元親は兜を足で乱暴に蹴落とした。

ゴトッと重そうな兜が転がり落ちる。

「あ゙?!」

元親は思わず腰を屈めまじまじとその顔を見た。

稲妻を身につけ、天を裂くように自分に向ってきた男。
自分のこの重たい大きな武器を受けとめ、弾き返した奥州筆頭。
「・・・同じぐれぇかと思ったが、随分と若ぇな。」
口ではそう呟いたが、兜から覗いたその幼い顔に元親は眉をしかめていた。

−・・・腑に落ちない。

先程まであれ程激しく厳しい戦をしていた相手が、この若さ。
その顔はどう考えても一国の王には見えず、色の白さといい、首の細さ、といい・・・、武将にしては綺麗すぎる。
「ッチ、見なきゃ良かったぜ。 倒してもこんな柔そうな男じゃ倒した気にねれやしねぇ。」
足で政宗の顔を自分に向けさせると、黙ってその顔を見下ろしながら元親は頭を掻いた。

「−・・・ッ?!!!!」

元親は一瞬漂った殺気に身を翻し、武器で反射的に殺気の相手の武器を受けとめた。

キィンッ、と火花が散る。
「ッチ、いい感してやがる。」
「・・・ぉお、恐ぇなぁ兄サン。折角怪我もあんまりねぇのに、余計に怪我ァ増やす事もねぇだろ?」
「黙れッ!!!」

ギリギリと刀を交える相手を見れば、先に吹っ飛ばした竜の右目、片倉小十郎であった。

元親は二人から距離を取ると、改めて武器を構えなおす。

「いいぜッ!!!アンタがその気なら好きなだけ掛かって来−」
「政宗様ッ、御気を確かに政宗様!!!」
しかし片倉は元親などには目もくれず、政宗の横に膝を付くと政宗を抱え、揺さ振っている。
「・・・ゥ、a?」
「政宗様・・・良かった。」
「こ、じゅ・・ろ・・・?」
政宗は薄っすらと目を開くと、安心したように名前を囁いた。

「−・・・。」
元親は構えていた武器を肩に担ぎ、呆れたように二人を見た。
どうも、今の二人に自分は映っていないようだ。

「怪我は・・・ねぇか?」
「怪我はありませんが、自命が縮みました。」
「ha、少し縮んだほうが丁度いいンじゃねぇか?」
「酷い事を言いなさる。−・・・貴方と共に歩む道です、この命は少しでも長くなければ困りましょう?」
「・・・Thank you、小十郎。」
ふわっと、政宗は優しく微笑んだ。

「−・・・。」
その笑みにひかれるように、元親は一歩二人に近づいた。
チャキッと反射的に片倉は振り返ると刀を元親に向け、政宗を守るように構える。

だが、元親は武器を構えようともせず、政宗をただ見下ろしている。

「・・・小十郎、刀降ろせ。」
「ッ、ですが政宗様!!!」
「勝負は勝負。 なぁ、そうだろ西海の鬼?」
「あぁ、そうだな。」
「ッ・・・それは、いくら政宗様の命と有らせられましても−」
「降ろさねぇか小十郎!!!−・・・俺に恥かかせるんじゃねぇよ、解るだろアンタなら。」
「・・・ッ畏まりました。」
片倉は刀を鞘に納め、政宗の後ろに控えた。
政宗は体を起こしあぐらをかくと、元親を見上げ、不適に笑った。
「持ってきな。 独眼竜伊達政宗、逃げも隠れもしねぇ。」
「・・・首に興味はねぇ。」
「ah?」

元親は政宗の前まで近づくと、しゃがみ込み政宗の顎を掴み、見定めるように見た。
「・・・腑に落ちねぇ。」
「テメェ、気安く政宗様に−」
「小十郎、・・・大丈夫だからcoolになれ、な?」
可笑しそうに笑い、目だけを片倉に向ける政宗は何処か落ち着きすぎていて場違いな雰囲気を纏っている。
それがさらに元親の首を傾けさせる。

「・・・何でもッて言ったよなぁ?」
「あぁ、言ったぜ。」
「なら笑え。」
「・・・ha?」
政宗は呆気に取られたように声を出した。
「納得いかねぇ。」
「a〜・・・、何が納得いかねぇのか知らねぇが、『笑え』って言われて笑えるモンじゃねぇだろ?」
呆れた顔でそう言うと、元親は面白くなさそうに眉をしかめた。
「ならそれまで待ってやる。」
元親は政宗から手を放すと、どっしりと腰を降ろし、政宗を見つめた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ