保健医パロ

□ギャップあるコイツと俺
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あれから飯を食わして、また寝かし付けた。

−・・・のはいい

「何で保健医の俺まで会議出ねぇといけねぇんだよ」

白衣を脱ぎハンガーにかけると、ネクタイを結び直しながら伊達の眠るカーテンをそっと捲った。

「−・・・」

かなり無理をしていたのか、本当によく寝ている。
俺は静かに近づいて伊達の喉元に触れた。
若干熱いものの、昼に比べればかなり落ちついてきている。

・・・黙ってりゃ綺麗な面してんのによ

ひっそりとため息を吐く。

今はぐっすり寝込んでいるから良いものの、俺がいない間に起きられたら堪ったもんじゃない。
油断のならないコノ餓鬼の事だ、さっさと帰って行方を暗ましかねない。

だからといって、部屋に鍵をかける訳にもいかないし...

「・・・頼むから、俺が戻ってくるまで寝ててくれよな」

俺はカーテンから出ると書類を持ち、パチッと室内の明かりを消して出ていった。





−・・・で、矢っ張りこうなンのかよ、あの野郎!


長引いた会議が漸く終わり、大急ぎで帰ってみればコレだ。
跡形もなく綺麗にベッドメイキングまでされている。

こうなったら何が何でも見付けだして、凄ぇ苦い薬飲ませてやらねぇと気が済まねぇ!

苛々した気持ちのままに手荒く戸締まりを済ますと、鍵と鞄を持つ。

−・・・無理して熱、上がってねぇといいけど

「はぁ・・・」
「ため息吐くと幸せ逃げンだぜ?」
「アン?!誰に物言って.........伊達?」
「an?」

急にかけられた声に顔を上げると、入り口にもたれる様に立っている伊達が目に入った。

まさか伊達だとは思わず、俺は驚きと喜びで、急いで伊達に近寄ると、頭を思い切りガシガシと撫で回した。

「ゥア?!! テメェ何しやがるこのチンピラ保健医!!!」
「偉いぞー伊達!!! 何だ、いい子じゃねぇかオメェも!!」

絶対、帰ったと思ったが、案外、真面目な奴なのかもしれない。

「ah?! 煩ぇ触ンじゃねぇよ若白髪!!!」

いや、撤回だ

「ンだとテメェ!!!これは銀髪ッつうんだよ、地毛だぞゴルァ!!!」
「OKOK、無理すんなよ。若白髪は金持ちになれるんだぜ?良かったじゃねぇか」

にやにや小馬鹿に笑う伊達に、病人だという事も忘れ怒鳴ろうとした瞬間−・・・

『貴方達、何時まで学校にいるつもりでございまするか?!』

いつの間にか傍に来ていたまつ先生が仁王立ちで俺達を見ていた。

ハッキリ言ッて非常に恐い。
食堂で見せる笑顔が何処かに吹き飛んでいる。

「元親先生、何時までも生徒と遊んでいないで、帰らせるように促さないと駄目でございまする」
「・・・す、すンません」

俺を睨み付け終わると、伊達に向き直り、今度は伊達を困ったような表情で見ている。
何か扱い違い過ぎねぇ?

「伊達さん、貴方も何時までも学校に残っていてはなりませぬ。生徒の下校時間は当に過ぎておりましょう?」
「だって元親センセーが残れって煩ぇンだもん」
「オイ、伊達!!!」

俺は伊達を睨をだが、伊達はにやにやと余裕そうに笑うだけだった。

「元親先生がそのに様ではなりませぬ。しっかりなされませ!!!」

更に鬼の形相になったまつ先生に、一歩後ろに引く。

「ぃ、いやコレには訳が・・・」
「俺は帰るって言ったんだぜ?なのによぉ・・・」

いかにも笑いを耐えている様子の伊達。
完璧に遊ばれてる。

「テメェ、誤解招くような言い方すンじゃねぇよ!!!」
「生徒に『テメェ』とはなんでございまするか!!!」
「ゥ゙・・・す、ンません・・・」

伊達は俯き、顔は見えないが、笑いを必死に押さえ込んでいるのは雰囲気で解る。

−・・・絶対ぇ元気になったらパシリにこき使ッてやるからなッ

卒業するまで俺のパシリ決定だ。
そう心で秘かに決めていると、伊達がいつの間にかまつ先生を丸め込んだらしく、可愛く手なんか振ってやがる。

本当、表情作ンの上手い奴だ

「オラ、帰るぞ元親」
「『先生』付けて言え!!!ったく、恩を仇で返しやがって、このくそ餓鬼」
「an? チャラチャラした先公には言われたくねぇな」
「オメェはあー言えばこー言う!!! 可愛くねぇぞ?!」
「野郎に可愛さ求めてンじゃねーよ、馬鹿かアンタ」

あーくそッ、何か口喧嘩でコイツに勝てねぇ気がしてきた。
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