保健医パロ

□不思議な程HIGHな気分
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「−・・・ん・・伊達・・・?」

俺は寝呆けながらも、腕の中に居るはずの伊達を抱き締めようと腕に力を込めた。
だがそれは空振りに終わり、俺の意識は一瞬で目覚める。

「伊達ッ?! 伊達っ!!!」

ベッドから飛び起きると、俺は慌ててリビングに向かった。

「ん?何だよ・・・」
「・・・へ?」

リビングの向こう側、キッチンにエプロン姿で立つ伊達が見えた。

「いつまでもアホ面してっと遅刻すンぞ?」
「ぉ、おう・・・」

俺は伊達にゆっくりと近づいた。

昨日の弱々しい伊達はそこにはなく、変わらないツンツンした伊達がいた。

「・・・具合は?」
「腹減った。」
「そんだけか?」

伊達は視線を混ぜている味噌汁に置いたまま、一瞬迷ったように言葉をつぐんだが、すぐに返事が帰ってきた。

「ちょっと、・・・怠い」
「ん、そっか。 無理しねぇでいいから−」
「大丈夫だ。−・・・昨日も、折角買ってきてくれたのに、何も作ってねぇし・・・」

俺の声を遮り、慌ててそう言うと、伊達はすまなそうに顔に影を落とした。

「ふぅ−・・・」

俺はため息を吐くと、伊達の頭を両手で思い切りぐしゃぐしゃに掻き混ぜた。



「ッオイ、何すんだテメェ!!!コッチはアンタと違ってもう髪梳かしてセットしてあンだぞ?!」
「あ〜?何か寝癖みてーなの付いてたからまだかと思ッたぜ」

俺は首を傾け、飄々とそう言ってやった。
勿論、セットしてある位すぐに解る。

「わざとだ!!!ワックスで固めてンだよテメェ、明らかにわざとだろ?!」
「へぇ、変な髪型だなぁオイ。寝癖だか何だか区別つけがてぇよ」
「〜ッ気に入らねぇ!!!人が珍しくしおらしくしてやってるっつーのによ!!!」
「だからそれが似合わねぇんだよ。もっと生意気でいろ、気色悪ぃりぃ」
「あーそーか、この変態保健医!!!テメェは一生白髪を銀髪ッて言ってろ!!!」
「だから何遍も白髪じゃねぇッて言ってンだろ?!」

更に言ってやろうとした言葉を伊達に嘲笑され、俺はムカつきながらも黙った。

「OKOK、もう煩ぇからさっさと身仕度済ましてこいよ。朝食ン中に山葵いれんぞ」
「ッたく、本当生意気な餓鬼だぜ」
「an?! テメェがさっき−」

俺は料理で両手が塞がっているのを良い事に、睨み上げてくる伊達の前髪を掻き上げ、そこに思い切りデコピンをした。

「痛ぇー!!!」
「よし」
「良くねぇ!!!」

余程痛かったのか、少し涙目で見上げてくる視線に俺はケタケタ笑いながら攻撃される前にそそくさと洗面所へ逃げた。
後ろから罵倒のような声も聞こえてきたが、それも何だか可笑しくて笑い飛ばしてやった。


伊達が徐々に自分に心を開いていっているのが、何だか照れ臭く何処かモドカシイ。

−・・・早く全部見せてくれりゃぁいいのに

だから今は少しの悪戯で誤魔化して、生意気なコイツに余裕を見せ付けてやろうと思ッた。
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