保健医パロ
□想い
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仕事が終わり、俺は漸く政宗の待つ家に帰ろうとした時、家康校長に呼び止められた。
「おぉ、長曾我部先生。待っておったぞ?」
「?・・・なンすか、校長?俺急いでンすけど」
少々苛立たし気に言うと、校長は若干申し訳なさそうに笑った。
「悪いな!!実は伊達の事なんだがな、先程アイツの親代わりが来ての? 伊達の事を話したら随分と驚かれてな、お主に礼を言っておいてくれと言っておったぞ!!!」
「え?・・・は、はは、そう、ですか」
何とか笑ったものの、背中に冷たいものが伝う。
「それにしても、誰に連絡したかは知らぬが、先方まで話が伝わって無かったらしくての、ワシは自命が縮んだぞ」
「すンません・・・、その、ウッカリ・・・してました」
連絡など出来る訳が無い。
伊達の気持ちの問題もそうだが、半ば無理矢理生徒を隔離したのだ。
怒られるならまだしも、礼を言われる好き筋合いはない。
「それでな、急いで病院に連絡を入れたらな、もう数日入院するそうではないか」
「なッ−・・・まさかそんなッ・・・」
何でだ?
伊達は入院なんてしていない。
多分、今もソファーかベッドで寝ているはずだ。
すると考えられるのは、親代わりの奴が一芝居打った・・・という事だろう。
しかし−・・・何故?
茫然としている俺に、校長は訝しげに俺を見上げてくる。
「長曾我部先生?」
「ッすんません!!!俺、ちょっと用事思い出したんで帰ります!!!」
「?おー、気を付けてな」
後ろに校長の間抜けな声が聞こえてきたが、そんな声を聞いている暇はない。
俺は車に乗りながら伊達の携帯に電話をかけた。
「−・・・ックソ!!!」
携帯の電源が切られている。
俺は後部座席に携帯を放り投げると、焦る気持ちでアクセルを踏み込んだ。
どうしようもない鼓動の速さに、ダンッとガラスを叩く。
伊達ッ−・・・
確かに初めは厄介な奴を連れ込んだと思ッた。
でも今は違う。
アイツの弱さを知って、甘えを知って・・・。
俺が守ってやらねぇと駄目なんだと、確かに思ッた。
今、アイツから離れたら・・・
「ッ放すかよ!!!」
荒い運転で抜け道を走り抜ける。
心が酷く苦しい。
「頼むからッ・・・居てくれよな、伊達・・・」