乱世
□俺の宝
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「元々アンタが食い足りなかったらと思って持ってこさせたんだ。遠慮すんなよ。」「―・・・変な奴。」
「ア?・・・何だよ。」
政宗はポツッとぶっきらぼうに呟いた。
「・・・だってそうだろ?明らかにこんな怪しい人間、利用する以外価値ねぇのに・・・。」
「―・・・。」
沈む政宗の顔は触れただけでガラガラと崩れてしまう位に、脆そうに見えた。
「価値ッてそんなに必要か?」
「―・・・あぁ、じゃねぇと生きてる意味がない。」
そんな哀しい事をハッキリと口にする政宗に、胸が締め付けられた。
「アンタの価値は代わり身だけじゃねぇだろ?」
知った口をきくなと言われようが、俺は構わずそう言った。
「―・・・代わり身だけなんだよ。・・・俺は・・・代わり身として術を施されて生まれてきたんだ。」
「術、を―・・・」
想像するだけで忌々しく、人知を逸してる。
「まぁ・・・、俺等の間じゃよくある。」
そういうと、政宗は箸を置き、立ち上がった。
「―・・・話し過ぎた。じゃぁな、元―」
「哀し過ぎるだろ―・・・ッ」
俺は考える前に政宗をきつく抱きしめていた。
「お、おい・・・?」
訳が解らない様子の政宗。だが俺はそんな事は気にせずに感情のままに続けた。