乱世

□痛み
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「っ―・・・」

滅多に外した事はないため、力が解放される感覚に慣れない。
ゾワゾワと背中を這う熱―・・・。

「・・・蒼い瞳?」
「見てンじゃねぇ!!!」

ギロッと睨みつければ、忍は怯んで一歩引いた。

「・・・まるで人ならざる者だね、アンタ。」
「人じゃねぇからな。」

人ならばこの男のように心配されよう、愛されよう。
俺を心底心配してくれた奴なんて、愛してくれた奴なんていない。
欲しくもない、そんなあやふやなモノ。

「ふぅ―・・・」

俺は深呼吸をすると、男の胸に手を置き、術をかけ始めた。




―・・・じわりじわりと男の痛みが体内を侵略して行く。






「―ッ・・・はぁはぁっ・・・っ、グッ・・・・」

「・・・さ―・・・す・・・け」

男が薄らと瞼を開く。

「旦那?!旦那、大丈夫?!」「あぁ・・・、・・・躰が軽くなっていく様だ。・・・痛みもどんどん引いていく。」
「良かった・・・ッ、良かった旦那・・・」
「さす、け・・・心配かけた。」
「もう・・・、本当に冷や汗かいちゃったじゃん、旦那の馬鹿・・・」






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