乱世
□逢いたい
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「毎晩毎晩、元親の名前を呼んで泣いてたよ、政宗。・・・俺はその度に口付けしてたんだよ?―・・・悔しかったのもあったけど、すぐに落ち着いてゆっくり寝始めたからさ。」
「慶次・・・、元親の事・・・。」
「・・・元親とはダチなんだ。すぐに返してあげようかとも思ったけど、政宗は何も言ってこないから・・・。もしかしたら、このまま俺のモノになってくれるんじゃないかーって。・・・でもそれってやっぱりズルイよな?だからね、政宗・・・。帰ろう、元親の所に。」
「―・・・嫌だ。」
元親が俺じゃなく誰かを想ってるのを知りながら一緒になんて居られない。
「元親の事、好きなんだろ?」
「―・・・俺は元親の一番じゃなきゃ嫌なんだっ・・・、だから―」
「甘ったれンじゃないよ!!!」
「っ?!」
慶次は俺の肩をしっかり掴み、ガシガシと揺らした。
「一番じゃなきゃ駄目なら一番になれる努力をして奪い取ればいいだろ?!逃げてばっかでどうすんだ!!!」
「―・・・一番になれる努力・・・」
俺は―・・・
ただ元親の優しさに甘えてただけ。
小十郎の優しさに身を任せただけ―・・・。
それは甘い籠の中に閉じ籠って居るだけで前の俺と何ら変わらない。
「―・・・いいのかな、俺・・・帰って・・・」
「帰っても帰らなくても、後悔するかもしれない不安があるなら、帰った方がいいよ。」
「―・・・・・・うん。俺、元親の一番になる。」
時間かかっても、やっぱり元親の一番側に居たい。
そう思ったら―・・・
「ッ―・・・ヒクッ・・・帰りてぇっ・・・ッ・・・元親に逢いてぇっ・・・」
恋しくて心が壊れてしまいそうだった。