新宿歌舞伎町パロ

□再華
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元親と結ばれて約2年が経った


働いていた小料理屋は、ホストクラブ西海に吸収され、今は改築した新たな西海で板前兼、バーテンダーをしている

佐助はというと、本店である西海の店長に就任したあと、副社長に就任した

そして実権の殆どを佐助がにぎっている

そんな佐助だが、今でもホスト達を温かくも厳しく指導する毎日を過ごしている

なんだかんだあったりもしたが、今は穏やかで賑やかな日常だ




「うーん…」

仕事終わりのカウンターで、何やら資料を見ている佐助が先程から唸っている

ホスト達はもう殆ど帰宅し、残って居るのは数名だけだ

「…どうかしたのか、佐助?」
「うん…。実はさぁ、仕方無い事かもしれないけど、週の中日がどうしても売上低いんだよねぇ…。コレをどうにかすればもっと儲けられんのに」
「―…そか」

経営者とは常に売上を追いかけていかなくてはならない

利益重視の佐助にはぴったりな職業だろう

「ハイハーイ!!俺に良い案ありまーす!!」
「遊んでないでサッサと帰る、成実」
「ちょっ!?俺の意見スルーなんすか!?」
「おバカと話してる暇は俺様にはないの」

佐助にバカ呼ばわりされている成実は、今ではNo.2の実績をもっている

それでも変わらず懐っこい性格は、何気に俺の癒しにもなっていた

成実とは同い年とゆう事もあり、元親には言えないが一番気楽に話せる相手だ

「どんな案なんだ、シゲ」

佐助の変わりに俺が成実に聞いてやった

「水曜日はレディースデーにして、女の子しか入れずに特別価格で提供とか!!」
「おバカ!!少ない客を更に限定して少なくしてどうすんのさ!!大体、客の大半は元から女性だっての、バカシゲ!!」
「す…すんませんっ…ぅう」

見事にズバッと言い切られて撃沈した成実に珈琲を煎れてやっていると、着替えた元親がやってきた

「ンだぁ?…何か賑やかそうじゃねぇか」
「アニキィ、またイジメられたんす…」
「馬鹿だからな、お前」
「アニキまで酷ぇ!!」
「ったく、元親まで…。俺は案外、レディースデーとやらは良いかもって思ったぜ?ほら、佐助も気にかけてただろ、執事喫茶ってやつ。アレをやってみたらどうだ?そしたら料理とかで結構取れると思うけど」

最近、『執事喫茶』とやらが流行っているらしい

女性相手は変わらないので、ホスト達ならすんなり出来そうな気がする

「執事喫茶か…まぁ、やる事ァ大して変わンねぇけど、マンネリしてるより良いかもな。政宗のメイド姿も見れるし」

元親は成実に煎れてやった珈琲を奪うと、満足そうに一口啜った

「何で俺だけメイドなんだよっ!!」
「俺の珈琲ぃ!!」
「政宗の珈琲を飲めんのは俺だけって決まってンだ」
「おいッ、勝手にスルーしてんじゃねぇ!!」

「だぁああっ、喧しい三人とも!!」

ベシベシベシッ、とリズム良く頭を叩かれ、強制的に黙らされた

「此処は小学校じゃないんだからね!?―…にしても、確かにやってみるだけの価値はありそうだね。料理とか、お持ち帰り用のデザートとかでぼったくればいい金になるかも…。各執事に値段を付けて、指名制にすれば、更に儲けられるし!!」

途端にスイッチが入ったのか、目を輝かせ始めた佐助を、最早誰も止める事は出来ない

「そうと決まれば、早く家に帰って構想練らなきゃ!!帰るよ皆っ」


―…仕事熱心と言うか、なんつうか…

もしかしたら、早まった事を言ってしまったかもしれない






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