親政学パロ

□素直 (完)
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「−・・・a?」
日差しの眩しさに目を醒ました。
どうやらいつの間にか眠ってしまったようだ。

俺はズボンのポケットに手を伸ばした。
「・・・?−・・・あぁ。」
そういえば、と思い、立ち上がると、昨日携帯を投げた方向に足を運んだ。
「−・・・。」
ゴミ箱の隣に落ちていた携帯を拾うと、じっとそれを見た。


・・・メール、来てねぇかな。
そんな期待と不安が頭を過る。
返信していないのだから、来ていない可能性の方が高いのに、それでも来ていて欲しいと思う。

でも−・・・
俺の思考は、ウジウジと考え始める。
いきなりのバッティングで、作戦やポジションの確認、連携プレー・・・その他もろもろの確認があるだろう。
元親は頭で覚えるより体で覚えた方が遥かに早い。
だからミーティングより実践練習をしているのは予想が付く。
そうなればメールなんて打つ暇もない。
本番は今日なのだから。

「・・・ッチ・・・。」

グズグズ考えている自分が欝陶しくて腹が立つ。
もう、どうにでもなれと、センター問い合わせを押した。


『受信メール10件』
「ぇ?」
受信メールを最初から開いていく。

『なー、帰ったら手料理食いてぇなvV』
『俺って中々ユニフォーム似合うよなぁ。絶対惚れ直すぜ政宗vV』
『もしも優勝したらよ、結婚してくれよ政宗!!!それが褒美って事でよろしくなvV』
『オイッ!!!電源切ってンのかよ?!コレ読んだら電話寄越せ!!!絶対だからな?!』
『政宗、まだ電源切ってンのかよ。つーかいつも入れてンのに何でこういう時に限って切ってんだよ。』
『いい加減、電源入れろ。』
『あー、マジ練習疲れた。で、オメェは何してんだよ。』
『風呂行ってくる。上がってくるまで電源入れてなかったら怒るからな。』
『入ってねぇし。どうした?何かあったのかよ?何でもいいから、返事しろ。』



『声、聞きてぇよ。』


「ッ−・・・///」
携帯をオデコにくっつけて、熱いため息を吐いた。

「送りすぎだ、馬鹿チカ。」

妙に心配した自分が阿呆らしい。


あー・・・もう///

俺は元親に電話をかけた。
多分、まだ宿は出ていないはずだ。
元親ならきっと−・・・

『政宗?!』
「よぉ、無い頭に作戦はちゃんと入ってっか?」
『テメェ、昨日ずっと何してやがった!!!』
「さぁ〜?オメェの居ないうちに、浮気の一つでもしてたかもな?」
『なッ?!本気じゃねぇだろぉな?!!!!』
「さぁ?♪」
『ッ〜今からそっち行く!!!』
「ばーか、試合しろ試合。」
『行く!!!』
怒気を含んだ声が酷く心地いい。
「何だ、優勝して結婚申し込みに来るんじゃなかったのかよ?」
『へ?』
「もし−・・・優勝したら、考えてやってもいいぜ?」
『嘘・・・マジで?!』
「じゃーな、無理だろうけど精々頑張れよ。」
『チョ、チョッと待て!!!』
「ah?」
『−・・・愛してるぜ、政宗。絶対ぇ妻にすっから待ってろ!!!』
「妻ッてオメェなぁ///妻なんかなるかボケ///」
『−・・・なぁ、昨日電話くれなかった分、オメェが足りねぇ・・・キスしてくれね?』
「ha?!///電話で出来るかンなもん///」
『ボイスん所にキスしろよ。』
「するかあ!!!///」
『俺はするからvV』
「オメェなぁ///」


『・・・chu♪』


耳元にわざと音を立てるようなキスの音が聞こえてきた。
・・・多分、今も口付けている。

本ッ当に馬鹿。
馬鹿チカ。

だけど、もしかしたら−・・・

「−・・・chu///」
そんなコイツに付き合っている俺の方が馬鹿かもしれない。

『「−・・・///」』

数秒間の沈黙が続いた。

『あー・・・今すぐ会いてぇ。会って抱き締めてキスして押し倒して−』
「オイッ!!!」
『ッて事は新婚初夜かvV』
「違うだろ馬鹿!!!///〜ッいつまでも馬鹿言ってねぇで会場行け!!!」
『おぅ♪じゃ、さっさと優勝してくっかなvV』
「余裕ぶっこいてっと負けっぞ。」
『んvV安心しろよ政宗。お前ぇの為なら是が非でも優勝してきてやっからvV』
「煩ぇ!!!///」
『政宗。』
「ンだよ!!!///」
『どうしようもない位愛してる。・・・オメェは?』
「大嫌いだ!!!///」
『どうせ真っ赤な顔してるくせにvV』
「してねぇよ!!!てか時間ちゃんと見てんのか?!」
『あ〜?−・・・もう行くみてぇだな。』
「じゃぁ、切るから。」
『あ〜・・・今の嘘だからもうちょい声聞かして。』
「ッ///−・・・たく。一回しか言わねぇから。」
『?』
「抱き締めて欲しい、から、早く帰ッて来いよ////」
『ッ///ぉ、おま−』
『じゃ!!!///』

プチッと切った。
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