親政学パロ

□愛妻弁当(完)
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バシッ



「オイ、人のモンに何やってんだテメェ。」

見上げると、パンを持った元親が不機嫌な顔で立っていた。
「おぉ、元親殿!!!良いところにいらっしゃった!!!」
「良くねぇだろ!!!」
元親は佐助を軽く睨むと、佐助は笑って政宗から手を離した。
「あっはっは、いやいやイー所に来たよ親ちゃんvVねー政宗?」
「−・・・何だよ、いー事ッて、政宗??」
元親は政宗の後ろに座ると、後ろから政宗を抱き締め、肩に頭を置いて首を傾けた。
「し、知るかッ///」
「あ〜ン?正直に言わねぇとちゅーすンぞ。」
「だぁあああ///馬鹿言うんじゃねぇよ!!!」
「じゃぁ言えよ。」
「そ、れは・・・」
俺が言い淀んでいると、佐助は元親の肩をポンッと叩き、にこやかに言い放った。
「明日から毎日お弁当作ってくれるってさvV」
俺は一瞬佐助の顔が質の悪い小悪魔に見えた。
「・・・マジ?」
「言ってねぇよンな事!!!///」
「ぉお!!!良かったでござるな、元親殿!!!」
「待て、幸村。決定付けンじゃ・・・」
「政宗ッ!!!///」
元親は俺を抱き締める腕を更に強くし、ぎゅぅっと抱き締めてきた。
そして頬にキスをすると、でれでれとした顔で政宗を見た。
「スゲー嬉しい。ありがとな、政宗/// ンとに可愛いなぁオメェってよ!!!」
本当に心底嬉しそうにじゃれてくる元親に、否定の言葉は強制的に失われた。
「ッ・・・煩ぇ///」
「なぁなぁ、放課後、弁当箱買いにいこうぜ!!!俺、お揃いのヤツがいいvV」
ぎゅうぎゅうと抱き締めながら、そう言って元親はねだってきた。
「・・・一々、他の店探すの面倒だし・・・そーなんじゃねぇの?///」
ぶっきら棒に不機嫌にそう言った俺の声も気にすることもなく、元親は嬉々として話を進めた。
「じゃぁさ、色違いと同じ色と、どっちがいー?vV」
「ンなもん店に行かねぇと解んねぇだろ///」
「ぉお、違いねぇ!!!じゃ、急いで買いに行かねぇと!!!」
元親は政宗の腕を取って勢い良く立ち上がった。
「ッチョ・・・オメェ放課後って言ったじゃねぇか!!!///」
「だってよ、選ぶ権利なくなっちまったら詰まんねぇだろ?アレコレ悩んで決めてぇしvV」
「・・・ッたく、急がなくても捜し回ればいいじゃねぇかよ///」
俺は何気なくそう言ったのだが、元親は驚いたように俺の顔を見ていた。
「・・・面倒じゃねぇの?」
「a??」
「ぁ、いや・・・よぉ?さっき面倒だとか言ってたし、いつもなら面倒くさがんのになって。」
「あぁ・・・そ、れは・・・長く使うモンだし・・・前言撤回つー事だ///」
「へへvVそうだな!!!あー、何か新婚生活の準備みてぇじゃねコレvV」
「たかが弁当箱だろ///」
「愛妻弁当を食う為の大切な弁当箱じゃねぇかvVさ、行こうぜ政宗!!!」
ぐいぐいと引っ張られながら、俺は心の底で誰にも知れないように幸せを噛み締めていた。

この甘い日々が、いつまでも続いて欲しいと願いながら・・・。




バタンッと屋上のドアが閉まった。
「−・・・すっかり、眼中にないよねぇ・・・うち等の事。」
呆れながら、佐助と幸村は出ていったドアを見ていた。
「しかし元親殿は幸せそうな顔をしておられたな!!!」
「くっく、まぁ親ちゃんは解りやすいからね。でもさ−・・・」
佐助は空を仰いだ。

真っ青な広い広い空−・・・

「本当に幸せそうだったのは、政宗の方じゃないかな♪」


『コラァアア!!!長曾我部、伊達ぇ何処行きやがる!!!』
『悪ぃ片倉!!!俺の愛妻弁当の為に見逃してくれ!!!』
『明日必ず説教してやるから覚悟しやがれー!!!』



青空にそんな声が響き渡った。



完−・・・
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