親政学パロ

□屋上 (完・微裏)
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キラキラ光るというよりは、静かに闇に融けるように星が降ってたいた。
その中に一つ、大きく丸く白く光る月だけが存在を誇示していた。

「・・・スゲー。」
「あぁ、綺麗だな。」
屋上のドアを開けると、政宗は空を見上げてそういった。
それに続いて元親も空を見上げ、政宗に答える。
政宗は冷えたコンクリートにドカリて座り込むと、また空を見上げた。
「流れ星とか落ちたりすると思うか?」
ケラケラと、何が楽しいのか、政宗は機嫌良さげに俺に振り向いた。
「−・・・そぅだなぁ・・・。」
元親は政宗の後ろにまわると、コートの中に政宗を抱き込んで器用にボタンを閉めていった。
その行動に珍しく大人しくしたがっている政宗に、元親は気分をよくし、コートの中で更に腕に力を込めて抱き締めた。
「俺が星より先にオメェに落ちちまうかもな?」
そう言い、元親は政宗の肩に顔を埋めた。
「−・・・落としてやろうか?」政宗はコートの中で器用に元親の方に体を変えると、ニヤリと笑って軽く口付けた。
「オメェのクラスの奴がよ?・・・勤労感謝の日だからたまには素直になってくれってしつこくて・・・よ///」
真っ赤になって下を向く政宗を、元親はただ呆然と見つめていた。

何といっても、政宗からキスをするのは付き合って2年目、初めての出来事であったために、元親がそうなるのも無理はない。

沈黙を続けて政宗を見続ける元親に、政宗は不安を抱き下げていた視線を上げて元親を見た。
「・・・元親?」
「ッ〜〜////」
ハッと我に返ったのか、元親は政宗と視線を絡めると急激に顔を赤らめさせた。
「ぉい、顔赤いぜ??風邪でも−」
最後まで言い終わる前にその言葉は元親の胸に抱かれる事によって遮られた。
「〜〜〜ッ政宗///」
ぎゅうぎゅうと思い切り抱き締める元親に、事態が飲み込めないでいる政宗は、ただ大人しくしているしかなかった。
元親の頭は政宗の肩に埋まり、元親の吐息は政宗の首を暖めていく。
「・・・スゲー幸せ。−・・・あー!!もう本当にッ、何だこれ///」
政宗の肩におでこをグリグリと甘えるように擦り寄せると、今度は政宗の髪に顔を近付け、匂いを思いっきり吸い込んだ。
「何かよ?俺ン中にあるオメェを好きだって気持ちの入った風船が、一気に膨らんで弾けちまったみてぇだ。」
「何だよそれ///」
「だから、弾けちまってどうしようもねぇって事だ。−・・・はぁ///、どうにもこうにも気持ちが溢れてきちまって仕方ねぇなこりゃ/// あー、大好きだ政宗。マジ好き、大好き、超好きスゲー愛してる政宗ッ///」
更にキツクぎゅうぎゅうと抱き締めてくる元親に、堪らず政宗は息苦しさを伝えた。
「元親ッ苦しいだろ///」
「ん? ぁあ、悪ぃ// オメェがあんまりにも可愛い事すっから、舞い上がっちまってよ・・・へへvV///」
体を少しだけ離し、お互いを見つめるだけのスペースが出来ると、元親は至極嬉しそうにそう言った。
普段、余裕ばかりを見せている元親の顔が赤らんでいる事実に、確かに自分を好いていると言う証拠のような気がして、政宗は自然と口元を綻ばせ微笑んだ。
「・・・愛してる、ぜ?元親・・・。」
独り言のように自然に口に出た。
出てしまってから、その言葉に気付き、自身で赤面して俯く。
政宗は何とか言い訳を見つけようと頭をフル回転したが、出てきた言葉はありきたりなモノだった。
それでも強きに睨みつけながら言った。
「ォ、オメェが何回も好きとか言いやがるからッ///つられただけだ//」
しかし上げた顔は恥ずかしさが全く引いていないためか、真っ赤に染まっており、睨んだ瞳は潤んで縁が艶っぽく紅く染まっている。
噛み締めた唇は僅かに震え、赤らんだ頬よりも断然紅い。

そんな様子の政宗を見た元親の背中に、ゾクリと何かが走るような感覚が伝う。
元親は目を細めて政宗に顔を近付けると、低い甘ったるい声で耳元に囁いた。

「−・・・堪んねぇ。」

政宗の耳に、熱い吐息と、元親のゴクリッと生唾を飲み込む音が聞こえた。
それを反射的にビクリッと体を震わせて離れようとした政宗だったが、元親の唇がそれより早く政宗の耳を甘く噛み、離れる事が出来なかった。
そればかりか、元親の熱い舌が政宗の耳の中をどんどんと湿らせていく。
くちゃくちゃと直に届く水音に、政宗は徐々に体から力が抜けていくのを感じながらも、何とか意識を逸らし、震える体を何とか支える。
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