親政学パロ

□晩飯
2ページ/2ページ

「ハイ、どうぞvV」
「・・・。」
スーパーから戻ると、元親は直ぐに料理に取り掛かってくれた。
俺はその間やる事もなかったので、小十郎から出された宿題を終わらせたり、明日の準備をしていた。
それも終わり、仕方なくTVを無駄に眺めていると、間もなくエプロン姿の元親が料理を持ってやってきた。
「ま、こんぐらいなら俺にでも出来るぜ!!!」
そう言いながらTVの前のテーブルに料理を置いた。

出された料理は卵スープとオムライス。

「・・・。」
「ちゃんと愛を込めたぜ政宗!!!」
元親の顔は、遣り遂げた感一杯の晴れ晴れとした顔だった。

スープもオムライスも完璧に出来ていて普通に美味そうだ。
結構料理上手いんじゃねぇのかコイツ。
頭で現実逃避する様にそう褒めても、目線がそこにいく。
オムライスにケチャップで書かれている『大スキ』の文字。
俺はそれを無言でスプーンの平を使い消し去った。

「だぁぁぁああ!!! 一番気ぃ使ったのに!!!」
「何か書いてあったか?」
「書いてたろ『大スキ』って!!!」
「悪ぃ、見えなかった。」
「嘘つけ!!!折角綺麗に書けたッてのにオメェは−」
「ンなモン書かれて恥ずかしくて食えるかッ///!!!」
「だからッて消す事ねぇだろーが!!!」
「どうせ消えンだからいいじゃねぇか。」
「そりゃ・・・そうだけどよぉ・・・、何も消す事ねぇじゃねぇか。」
あからさまに落ち込む元親に、若干罪悪感を覚え、俺はまだ何も書かれていない元親のオムライスを奪うと、ケチャップでハートを書いた。
そしてそれを元親に差し出す。
「・・・政宗コレ///」
「違ぇッ///!!!これだとオメェ食えねぇだろ?! どうだ、俺の気持ちが解ったか///!!!」
「ゥ゙・・・。確かに・・・。」
「だから、どうせ消えんだから−」
そう言いながらハートを消そうとスプーンを元親の皿に伸ばす。

「駄目!!!折角オメェが書いてくれたんだ。絶対ぇ消さねぇ。」
寸での所で皿を退かされた。
「ったく、消さねぇから皿置けよ。」
「・・・。」
用心深気にコトッと置かれた皿を確認すると、俺は自分のオムライスを一掬いして、元親に差し出した。
「ほら、口開けろよ。」
「・・・食わしてくれんの?」
「さっきは悪かったから///」
「へへ・・・vV サンキュ、政宗vV」
元親はそのスプーンをパクリとくわえた。
その隙に俺は素早く元親の握っているスプーンを奪い取り、こッ恥ずかしいハートを消した。

「ッ!!!」
「はぁ、スッキリした。これで漸く俺も普通に飯が食えるな。」
「テメェ、政宗オメェ騙したな!!!」
「an? 何の事だかサッ・・パリ解らねぇなぁ。」
「消さねぇッて−」
「ほら、あ〜ん?」
言い募ろうとする元親に再度スプーンを押しつければ、ヤッパリ素直に口に含む。
スプーンを取り出して俺も食おうとオムライスに手を伸ばすと、元親に急に顎を掴まれ、口を塞がれた。

「ンッ・・・!!」
ゆっくりと元親が含んだオムライスが自分の口の中に入ってくる。
いきなりの事に、呼吸も乱れ、苦しさからゴクンと全て飲み込んだ。

「テメェ−」
「口移しじゃねぇと食わねぇし、許さねぇぞ。」
「ゥ゙・・・」
膨れて拗ねた元親は、言う事を聞かないと何時までもずっとこうだ。

−・・・早まるんじゃなかった。

そう思いながらも、たまには良いかと思い始めている自分を自覚し、顔が赤くなっていく。

「政宗、あ〜ん?」
楽しそうに元親は俺にスプーンを突き付けてくる。
それを仕方なさげに振る舞って口に含み、身を乗り出した。

「ん・・・///」

折角作ってくれた料理だというのに、味わう余裕なんて無さそうだった。



完。
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ