親政学パロ

□邪魔者 (完)
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その事態は、急に展開された。
前田慶次はその日、女に格好をつけようと寒空の下、校庭を駆け回ったり馬鹿をしていたらしい。
その結果、案の定風邪を引いたが、それで怯む前田ではない。
これ幸いと看病を女にねだったらしいのだ。
だが運悪く、女の本命も風邪を引いたとかで仕方なく前田は一人寂しく寝込む羽目になったのだった。
そんな時、白衣の天使・・・にしては随分とデカクてガタイのいいアイツが前田の部屋を訪ねたのだ。
そう、偶然に訪ねた長曾我部元親は、前田が風邪を引いていると知ると、わざわざコンビニまで行き、弁当や飲料水、薬などを買ってきたりしてやった。
それをどう受け取ったのかは知らないが、それからと言うもの、前田はすっかり元親に入れあげていた。

朝は寮の元親の部屋まで来ては、同室の政宗と元親の間に割って入り、一緒に登校する始末。
元親と政宗は特に付き合ってはいなかったが、周りから見れば時間の問題で、お互いに告白するタイミングを計っていた。
そんな状況でこの厄介な邪魔者の登場だ。
元親は、政宗と話す時間が短くなった事に苛立ちはするものの、それを全面に出すのは大人気ないと考え、とりあえず放っておく事に決めている。
だが政宗の方はと言えば、余裕など何処にもない様子で、部屋でも元親に機嫌の悪さをぶつけていた。
それも仕方のない事。
元親は前田の事など眼中にはないのだが、そんな事を知る由もない政宗には、楽しそうに会話をする元親が前田に好意を持っているように見えて仕方がなかったのだ。
それに加え、登校のみならず休憩時間も昼休みも下校も、元親が居る所に全て前田が出張るから、苛立ちが納まる時がない。

自分ばかりが余裕のない状況に、政宗は心底疲れていた。
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