親政学パロ

□4兄弟
2ページ/10ページ





俺は長男として弟達を平等に愛していた

「…兄上、政兄ぃは大丈夫でござろうか…」
「ン…政宗は強い子だから大丈夫」
「でも…」

俺はいつもこの言葉に甘えてきた

幸村は空気なんて読めないから我が侭だらけだし、甘ったれで、両親と俺、佐助が一生懸命構ってやったのを覚えている

そんな中、政宗はまだ幼いのに空気を読む出来た弟だった

「大丈夫だよ、俺のがお兄ちゃんだから平気だよ」

俺達はその言葉に頼ってしまった

…今から思えば可哀想な事をしたと思う

あれから皆成長して、幸村もだいぶ大人になったけど、まだまだ甘え癖が抜けきれないでいる

一方、政宗は大人び過ぎて少しよそよそしい

甘えるなんて滅多にしないし、多少理不尽でも聞きわけがいい

政宗は本当に出来た弟だ



それしか、思っていなかったのに―…

「…佐助、遅いな」

政宗に粥を持って行った佐助が中々帰って来ない

「―…」

いつからだったろう

政宗の美しさに魅入れてしまうようになったのは

あまりの美しさに手が伸ばせなくなったのは…


綺麗な綺麗な政宗

時々、思う

兄弟でなければ―…

手に入れられないから余計に欲しくなる



「―…あれ、まだ行ってなかったの、二人とも」
「さす兄様!!!政兄様の容態はっ」

二階から降りて来た佐助に無言で解答を求める

「むふふ♪…久しぶりに政宗に甘えられちゃった、俺様」
「「ぇええー!!!」」

佐助の勝ち誇った表情に思わず声を上げてしまった

「ズルイでござるっ!!!某も甘えられたいっ」
「てか…なんでお粥持ってっただけなのにそうなるんだよ!!!政宗になんかしたんだろ!?」

羨ましいっ

本当ならば政宗と一緒にデートに行くはずだったのに、幸村が今になってから参考書だのなんだの言い出すから行けなくなってしまったのだ

…折角勇気を振り絞って誘ったのに

「まぁ詳細はあと!!!早く行って帰って来る事!!!」


佐助の困った笑い顔に不安が募る

…何か悩み事でもあるんだろうか

「そうと決まれば兄上!!!一刻も早く帰って来ましょうぞ!!!」
「―…あぁ、じゃぁ行ってくるな?…政宗の事頼む」
「了解」
「…っ…佐助!!!」

そのまま玄関へ向かおうと思ったが、俺は立ち止まり振り向いた

…別に言わなくてもいい事だ…

けど


「政宗の兄貴はお前だけじゃねぇ…俺だって政宗のためならなんだって出来る」

俺の方が政宗を愛してる
大切にしてる
宝物のように大切に守ってきた

っ…なのに何で!!!

「…行ってくる」
「でもさ」
「…」

振り返らずに佐助の言葉を待った

「政宗が今必要としたのは俺様だけどね?」
「っ…」
「そんじゃ行ってらっしゃい!!!」


くそっ

そんな事言われなくてもわかってる

政宗に俺は必要とされてない事くらい

でも、それでも…やっぱり愛してるから




まさむね



お前が一言「死ね」と言ってくれたら喜んで死ねるのに…


必要とされないなら、いっそ死んだ方が楽だ







次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ