親政BSR

□戯言 (完)
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「あーちぃ・・・。・・・aーオメェ等はいいよなぁ?水ン中で余裕そうに泳ぎやがって。」
政宗は調理場から桶一杯にくすねてきた氷を一つ口に含み、残りの全てを足を突っ込んでいる池にザーッと入れた。
「・・・まぁまぁ気持ち良いな。」
そう言うと、また内輪を扇いだ。

ジリッ。

後ろに人の気配と足音を聞くと、政宗は振り返りもせずに言葉を放った。
「Hy、小十郎。こう暑くちゃ適わねぇ・・・。海に行こうぜ?部下も連れて久々にゆっくりすんのも悪くねぇだろ。」
ぼぅっと池を見つめながら、政宗はそう後ろの人物に言った。

「・・・それならいっその事、四国の海に来りゃぁいい。」
突如、背中にズッシリとした重みと、耳元に片倉ではない声が政宗の耳に届いた。
それに政宗は振り返る事無く深くため息を吐いた。
「−・・・小十郎は?」
「あぁ、頑張って倒してきた。ッたくよぉ、本当に殺されっかと思ったぜ?」
「本気だったろうよ。」
「くっくっく、そりゃおっかねぇなぁ?」
「ンで? いい加減暑苦しいし、アンタが何しにきたか教えてもらおうか、西海の鬼。」
「あ? だから言ったろ、『嫁に貰いにきた』ってよ。」
「ッたく、テメェは戯言が好きだな? まぁいい、今日は泊まってけよ。ンで、明日出航だ。」
「お?! 何だ、随分と素直じゃねぇか?」
元親は抱き締めていた腕の一方を放し、政宗の頬を手の甲で愛しそうに撫でた。
そるを政宗は首を振って払うと、元親を一睨みした。
「暑ぃンだよ、海に入りてぇ。だから部下も皆連れて、たまに息抜きしねぇとな。」
「そぉか。 まぁいい、俺もその方が落としやすいしなぁ?」
「そりゃ良かったな。−・・・で、いい加減放せよ。暑苦しいぞオメェ。」
「ん? ンな釣れねぇ事言うなよ、俺とオメェの仲だろ?」
「ah?!! テメェ何勝手な−・・・」

突如襲ってきた殺気に、俺は言葉を詰まらせた。


「どんな仲だか言ってもらおうか、西海のクソ餓鬼ィ〜・・・。」


チャキッ−と光る刀が元親の首元に当てられた。
その後ろには言わずもながら、殺気をむき出しにしている片倉が立っている。

「・・・遅ぇぞ、小十郎。でもって、刀ァ収めな。」
「−・・・その命にはお答え出来ません。」
「ンな硬ぇ事言わねぇで、頼むよ片倉、な?」
ツゥッ−と元親からは冷や汗が流れ落ちた。
「あン?!」
「小十郎ッ!!! オメェまでンな戯言に付き合うんじゃねぇよ。」
「戯言でも言って良い事と悪い事がございます!!」
片倉は眉間に皺を寄せ、怒りを露にしている。
元親はその会話を聞くと苦笑を漏らした。
「戯言じゃねぇんだけどなぁ?」
「テメェまだ言うか!!」
「Stop!! いい加減にしろよオメェ等。 今日はもう喧嘩は仕舞だ。 部下を集めて宴会の準備でもさせな、小十郎。」
「ゥ・・・か、畏まりました。・・・致し方ありませんので。」
「おぅ、すまねぇな政宗vV」
コロコロと機嫌を変える元親を呆れながら見ると、漸く政宗から腕を放した。
「よしッ!! じぁあ、俺もアイツ等を集めてくっかな?」
元親は政宗の隣にしゃがみ込み、政宗の顔を覗き見た。
「んvV しばしお待ちを、お姫様?」
元親は政宗の頬に軽くキスをし、さっさと部下を集めに去っていった。

「ンのPlay boyがッ///」

政宗は池の水を両手で掬い、顔にかけると頭を振って水を拭った。
「・・・本当に暑ィ日だぜ///」
それでも内から来る熱さは全く取れなかった。




嗚呼、今宵も暑苦しい夜になりそうだ。


完−
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