親政BSR

□金魚
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佐助の口ぶりでは後ろに独眼竜がいる事はお見通しなのだろう。
気を使ってくれた事に感謝する。

「所でそちらの方は?」

真田はチラッと俺の後ろを見た。

「俺の許嫁だ。・・・アンタ等に見せるにゃ勿体無ぇから絶対ぇ見せてやんねぇけどな?」

ニヤニヤして笑えば、真田は不満そうに俺を見た。

「別にいいでござる!!!某には政宗殿がいるのでなッ!!!」
「そりゃ良かったな。『政宗殿』に宜しく言ってくれや。」
「あい解った、それでは!!!」
「またねぇ、『お二人』さん。」
「おう!!!」

真田は気付かないままに去って行った。

「―・・・可哀想になぁ?」

クスクス笑いながら後ろを向けば、羞恥に肌を赤く染め、瞳を潤わせた姿があった。

何とも、虐め甲斐がありそうだ。

「そんなに俺と会いたかったのかぃ、独眼竜の兄ぃさん?」
「ち、違―」
「『重要な外交』とまで嘘ついちまって・・・。可愛いねぇ?」
「それはっ・・・///」
「念願叶って会えた感想を是非とも聞きたいねぇ?」
「〜〜っ///」

今にも茹で上がりそうな独眼竜の姿に、口元の緩みが止まらない。
今日は月の元で独眼竜を頂けそうだ。

「それより、さっさと店見て回らねぇと暮ちまうだろ?!///」
「へぃへぃ。」
「アレ!!!アレやるっ!!!///」


恥ずかしさを誤魔化す為か、独眼竜は次の目的を決めると駆け出した。

「ったく。」

本当に可愛い奴だ。

俺は屈んで見入っている独眼竜の隣に座った。

「・・・金魚掬いか。」
「釣るンじゃなく掬うのか?」

不思議そうに俺を見る独眼竜に小さく笑うと、店主に金を払って紙で出来た網を受け取った。

「いいか、見てろよ独眼竜。」

金魚掬いは昔からやっていたので得意中の得意だ。
簡単に掬って見せた。

「・・・ha、これなら簡単に捕まえられそうだな?」

ニヤリと笑い、独眼竜は金魚を掬おうと網を水に浸けた。


「ぅりゃ!!!」

勢い良く上げた為に、ベリッと破れてしまった紙に、独眼竜はぷくーっと頬を膨らませ網を睨んだ。

まぁこうなる事は予測済みだ。

「これにはな、コツがあンだよ?」

俺は後ろに周り、左腕で独眼竜を抱きしめると、店主にもう一本網を貰い独眼竜に持たせ、その手に空いた右手を重ねた。
そして細い肩に顎を乗せて囁く様に話した。

「―・・・いいか?金魚ってのは影を作ると寄ってくンだ。そこでこうやって静かに網を潜らせて―・・・」
「ぉ、ぅ///」
「金魚を網に導いたら、水面を撫でる様に持ち上げ椀に入れる・・・っと。・・・な?」
「mhu・・・///」

ドクドクと早く脈打つ鼓動が独眼竜からハッキリ伝わる。

俺はニヤリと笑うと、耳に熱い息を吐き出す様に言った。


「俺は巧いからヤると気持ちいいぜ?―・・・金魚掬い。」
「そ、りゃッ―良かったな!!!///」



嗚呼、抱きてぇ。


邪魔な鱗を剥がして、白身を余す事なく喰らいたい。
どんな風に食っても満足出来るだろう。

「ほら、ヤってみろよ?」
「・・・あぁ///」

そっと慎重に網を潜らせると、独眼竜は一匹に狙いを定めた。
それを見つつ、俺は一人、言葉遊びに興じる事にした。

「・・・いいぜ独眼竜・・・。初めはそっと、ゆっくりな?」「っ///」


手は出さないつもりだったが、染まって行く肌の色が俺を調子付かせる。
俺は人に見えない様に独眼竜の尻をゆっくりと撫で始めた。

「っ?!ぉ、ぃ!!!///」
「こら、慌てっと紙が破れるぜ?」
「っ〜///」

手がふるふると震え、中々網に捕らえる事が出来ない。
独眼竜の意識は確実に俺の手の動きを捕らえていた。

「・・・ただ揺らしてるだけじゃ出来ねぇだろ?・・・ちゃんと定めて潜らせねぇとな?」
「わ・・・かってる///」

揉みほぐす様にやわやわと揉むと、独眼竜から僅かに熱を帯びた吐息が漏れた。


こうなればさっさと金魚掬いを終わらせるのみ。

「仕方ねぇなぁ。俺がヤってやるよ?」

もう一度独眼竜の手に手を重ね、俺はあっさりと金魚を掬った。

そして、そっと耳元に甘ぁく、とろっと囁いた。


「帰ったら、俺がもっと楽しくて気持ちいいモン教えてやるぜ?・・・まさむね。」


名前を呼ぶのは最強の武器。

小さく頷く独眼竜に、俺は生唾を呑み込んだ。

今日はとんでもなく良い夜を迎えられそうだ。










(オワリ)
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