日記小咄
□兄弟小咄
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『兄弟幼少パロ1』
夏休みと言う事で田舎に帰省していたが、今日で帰る事になった。
当然、お土産を買うべく、俺達家族はデパートのお土産屋を見て回り始めた。
母さんと親父は食品コーナーへ。
俺は元親に腕を引かれて菓子コーナーに来ていた。
「まさ兄ぃー!!!あの試食食べたい!!!」
目をキラキラさせて元親が言った。
「だーめ。買わないのに食べちゃダメなんだぞ?」
少し強めに言うと、元親はシュンとなり頷いた。
「―・・・ぅん・・・。・・・解った・・・。」
「・・・。」
ショボーンとうな垂れてしまった元親に、途端、俺は激しい罪悪感に胸が締め付けられた。
何だか元親を苛めているようで、俺は仕方なくため息を吐きながら言った。
「・・・はぁ。ちか、一つだけもらっていいよ?」
「いーの、まさ兄ぃ?!やったぁ!!!」
はしゃぐ元親を見て安心すると、何となく店員が居ないか見回した。
(・・・居ない、か。)
試食と言えど、子供が買わない事なんて誰だって解る。
だから誰にも見られたくない。
「まさ兄ぃー、ハイ!!!」
元気な元親の声に俺は後ろを振り向いた。
「ン?―・・・ってオマッ?!」
振り返り元親を見れば、手の平一杯に菓子が乗っていた。
怒りたいのは山々だったが、とにかく今はこの菓子を隠したい。
俺は慌ててハンカチで菓子を包み、ポケットに入れると、元親の手を引いて慌ててその場から立ち去った。
「まーさー兄ぃ♪美味しかったから一緒に車で食べよーvV」
「・・・うん・・・。」
「へへぇ///」
なんだかんだで、嬉しそうな元親に結局怒れない俺だった。
(オシマイ)