Dear My HERO !

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「…というわけで、今日からあなた達の仲間になるビーナスかぐやよ。」


犯人逮捕後、アニエスさんに召集された僕たちは、ニューヒーローの歓迎会という名のお披露目会に出席させられた。

先ほどまでの戦闘コスチュームとは異なり、長い丈で肩口まで襟元を開いた着物を着た新しいヒーローは、長い黒髪を下した姿で僕たちの前に歩み出た。


「初めまして、ビーナスかぐやです。本名は椎葉光です。」

「彼女は日本人よ。所属はファッションブランドLUCE(ルーチェ)。スポンサーは化粧品メーカーと、それにシュテインビルド最大手のエステ会社よ。」

顔を少し上げ、先ほどから繰り返しテレビで流れている彼女のプロモーションビデオを見れば、短めの着物の袖と帯、ブーツにそれぞれ所属ブランドのロゴとスポンサーロゴを確認できた。

「ふぅーん?ファッション・美容会社の社名を背負うだけあって、スタイルも容姿も申し分ないじゃない?綺麗な顔してるし…ねぇ、ブルーローズ?」

「ふん…まぁまぁじゃない?」

「あら、ライバル視?」

「そ、そんなんじゃ…!!」

「ボク、ドラゴンキッド!よろしくね、ビーナスさん!」

「よろしくお願いします、キッドさん。」 

「私はファイアーエンブレムよ。よろしくね、ビーナス。こっちはブルーローズ。」

「よろしくお願いします、ファイアーエンブレムさん、ブルーローズさん。」

「…よ、よろしく。ところであなたの能力は何なの?」

「私の能力は光です。光を発生させたり、物質化して攻撃・防御できます。」

「それでさっきの光の攻撃か…」

「あれは光を発生させて犯人の視界を奪っただけです、タイガーさん。」

「あれ?俺のこと知ってんの?」

「はい。皆さんの活躍はテレビで拝見させていただきました。お隣にいらっしゃるのがタッグを組んでらっしゃるバナービーさんですね。よろしくお願いします。」


僕に向けられた視線に気が付き、視線を向けると金色に光る瞳と目が合った。


「バーナビー・ブルックスJrです。よろしくお願いします。」


にこりと微笑めば、にこりと微笑み返される。


「私はスカイハイだ!ビーナスくん、よろしく!そしてよろしく!!」

「よろしくお願いします、スカイハイさん!」


彼女がお辞儀をしたその瞬間、背後に何者かの気配を感じた。


「俺はロックバイソンだ!よろしくな。あと、こっちは折…あれ?折紙はどこに行った?」

「…折紙先輩、なんで僕の後ろに隠れてるんですか…?」

「あー…ほら、折紙出てこい。これ折紙サイクロンね。大の日本ファンだから仲良くしてやってくれな、ビーナス。」


おじさんに背中を押され僕の背後から押し出された折紙先輩は見るからに緊張していた。

首から下は正装に包まれ、顔はマスクで隠されている…が、きっとマスクの下で照れているんだろう、首がほんのり赤い。大方、生のジャパニーズに緊張しているんだろうな。


「おっ、折紙サイクロンでござるっ!!よろしくお頼み申す!!」


がばっと下げられた先輩の頭を驚きの眼差しで見つめたあと、ふわりとほほ笑んだビーナスさんは「よろしくお願いしますね、折紙さん」と言った。


それはまるで女神のよう…


なんて考えた自分の思考に自分で驚いて、軽く頭を振った。

下がった眼鏡を指で上げ、乾いた喉をロゼで潤す。


あぁ……今日はいつも以上に酔いが回るのが早い。





Nice to meet you, HERO!



2011/11/19
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