THE BASKETBALL WHICH KUROKO PLAYS

□君が僕を好きな限り
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『僕に逆らう奴は親でも殺す』




「皆にそう言ったんだって?」



銀色が光る細見のハサミを指にはめて動かせば、チャキチャキと刃が触れ合う音がした。


「誰から聞いたんだ?」


彼の瞳が自分を見上げているのを鏡越しに確認する。


「涼太と真太郎ー。特に真太郎は『人のハサミで酷いのだよ!』って言ってたよ!」


かけてない眼鏡を指で上げる振りをして笑えば、彼はふぅっと呆れたように息を吐いた。


「あれ?怒っちゃった?」


赤い髪に触れながら問いかければ、彼は眼を閉じて「怒ってないよ」と言った。


「ところで、切るなら早く切ってくれないか?」

「えー?どうしようかなー?」

「……髪を切らせてって言ったのは真白だろ?」

「あれ?そうだっけ?」

「……」


彼は眼を開けて、またため息をついた。


「あ、今度こそ怒った?私殺されちゃう?」


なんたって親でも殺しちゃうんだもん。

征十郎ならやりかねないよね。

冗談のように笑いながら言ったが、冗談だと思ってはいない。

だって征十郎は常に本気だし。

そう頭の隅で考えた瞬間、不揃いの前髪に触れていた左手が掴まれた。


「僕が真白を殺すわけないじゃないか」


鏡に映る彼の口元には笑みが浮かべられていた。


鏡越しに彼を見つめて私は笑った。


「うん、知ってる。」


右手で遊んでいたハサミの刃を閉じた。



シャキン




君が僕を好きな限り




ハサミで切れない糸で縛られているんだから。






121102

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赤司くんの一人称は僕でいいんですよね?
始めの方ではオレだったんだけど…?


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