THE BASKETBALL WHICH KUROKO PLAYS
□天命を待つ二人
1ページ/1ページ
天命ってなんだ。
わからない。
「真ちゃーん!」
「……何なのだよ?」
「おんぶー」
「なぜ」
「じゃあ、だっこ!」
「だからなぜ」
「あ、やっぱお姫様だっこがいい!」
「………」
「あれ?頭痛いの真ちゃん?」
眉間にシワを寄せて、実に困ったように手を額に当てた真ちゃんを下から覗き込む。
すると「はぁー」とため息の音がして、眼鏡越しに真ちゃんの瞳が私を見下ろした。
「人の話を聞くのだよ」
「あいた!」
ぺちっと音がして、真ちゃんの長い指が軽く私の額を叩いた。
そんなに痛くないけど反射的に痛いと言ってしまったら、真ちゃんが少しだけ心配したように頭を撫でた。
「突然どうしたんだ?」
「えー?真ちゃんって身長高いから、力持ちかなって思って?」
「…ある程度の力はあるが、俺は必要以上に重いものは持たないのだよ。」
知ってるけどね。
バスケのために指を大切にしてる真ちゃんは、重いもの持ったりしないし、プロレスラーみたいに太いムキムキでもないしね。
「なんだー。真ちゃんは私を抱えることもできない非力さんなのかー!」
「非力ではないのだよ」
「私みたいに軽い女の子一人も抱えられないのかー残念!」
「だから非力」
「いいや。高尾くんにお姫様だっこしてもーらお!」
「っ!待つのだよ!」
背を向けた私の手を彼が掴んだ。
しめた、乗ってきたな。
「聞き捨てならないのだよ!高尾にできて俺にできないわけないのだよ!」
「えー?いいよ、無理しなくて。私結構重いし、真ちゃんには無理だよー」
「無理じゃないのだよ!」
ムキになってる真ちゃんは私を突然抱き抱えた。
「わわっ!?」
「真白は軽すぎなのだよ。」
まさかのお姫様だっこ。
本当にされると中々照れ臭い。
そう思いながら上を見上げれば、真ちゃんがこっちを見ていた。
長い下睫がはっきり見えるくらい顔が近い。
「…どうしたんだ?」
「え?」
「足だ。」
「……なんで?」
「最近ソックスではなく黒タイツを穿いている。」
「やだー!真ちゃんてば、えっちー!」
「ちっ、違うのだよ!」
「真ちゃんてば私の脚見てたのね…私の脚ってば罪作り…!」
「だからっ…!」
真ちゃんは何か言いたげに口を開いたが、諦めたようにはぁーっと深くため息をついて、また私を見た。
「…足を引きずっているのも見た。」
「……」
私は目を見開いたが、すぐに伏せて真ちゃんの視線から逃げた。
あーあ。
なんでそんなのに気がついちゃうかな…
「真白?」
「…んー?」
「…怪我してるのか?」
「……んーん」
私は真ちゃんの首に腕を回した。
そして首元に顔を埋めるように抱き締めた。
「真白?」
「…真ちゃんって、力持ちだね。」
「…やっと認めたのか。」
「うん…私でも軽々なんだね。」
「…真白は軽いからな。もっと太ったっていいのだよ。」
「……安心したよ。」
「何がだ?」
「真ちゃんが私を抱えることできるってわかって。」
「…そうか。」
「きっと真ちゃんは私を抱える天命にあったのだよ!」
そう言うと真ちゃんはほんの少し笑って歩き始めた。
私は相変わらず抱きかかえられたままで、真ちゃんの歩く振動を体で感じていた。
「ねぇ、真ちゃん。」
「なんだ?」
「また、いつか…こうやって…歩いてくれる?」
そう言いながら、私は笑顔を作ろうとしたができずに、彼の肩に顔を埋めた。
彼は私の頭を優しく撫でて言った。
「真白が望むなら、またやってやるのだよ。それが俺の天命なのだろう?」
「…うん。」
その言葉に私は返事をすると、静かに涙を流した。
天命を待つ二人
ねぇ、真ちゃん。
私の脚、病気なんだって。
切り落とさないと命に関わるんだって。
これが私の天命なんだね、
なんて、
「ん?何か言ったか?」
「…ううん。真ちゃんてばかっこいいね!」
「…褒めても何も出さないのだよ。」
「えー!ケチー!」
言えるわけないよね。
121102
************
真ちゃんの口調わからないのだよ!
.
[
戻る
]
[
TOPへ
]
[
しおり
]
カスタマイズ
©フォレストページ