THE BASKETBALL WHICH KUROKO PLAYS

□わがままを許して
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大学のサークルで飲み会があって、一次会で帰るつもりが二次会まで連れて行かれて。

やっと解放されて家に帰りついた頃には、お酒で火照った体も冬の寒さで冷えきってしまった。

早く家に入りたい。

そう考えながらアパートの階段を上がる。

通路に差し掛かり目線を上げれば、自分の部屋の前にうずくまっているモノが目に入り、びくりと肩が震えた。

瞬時にそれが誰だかわかり、二重の意味で心音が荒立った。


「黒子くん!?」

「あ…おかえりなさい」


顔を上げた彼の鼻は赤くなってた。


「どっ、どうしたの!?」

「真白先輩を待ってました」

「待ってましたって…何時間待ってたの!?」

「…わかりません。今何時ですか?」

「もう1時だよ!高校生がこんな遅くまで…」

「子供扱いしないでください。」

「…黒子くん?」

「すみません…真白先輩にどうしても会いたかったんです。」

「黒子くん…」

「わがままな子供ですみません。」


ずずっと鼻を啜る音が聞こえた。

しゃがんだままの黒子くんは少しムキになってるようだった。


「…黒子くん、立って。部屋に入れないから」

「すみません…僕、帰ります。」


すくりと立ち上がり、私と目を合わさず立ち去ろうとする彼の腕を掴む。

黒いコートがひんやりと手のひらを冷やした。

本当に何時間待っていたんだろう。


「上がっていってよ。もう終電もバスもないよ。」

「いえ…真白先輩に会えただけで十分です。」

「だめ。私が一緒にいたいの。」


そう言えば、黒子くんはやっと私と目を合わせてくれて、


「…わがままですね。」


そう言って、泣きそうな顔で笑った。




わがままを許して








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黒子:高校3年
真白先輩:大学2年

付き合ってるけど中々会えない二人…な設定。



2013/01/02



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