BLEACH 短編

□◆
1ページ/3ページ


 

〜SUMMER〜






極寒の冬には、



夏の日差しが恋しくなる。





しかし、実際夏になってみると、




その恋しさなんて嘘だったかのように、




うだるような暑さに目眩がする。






そんな矛盾を毎年抱えながら、



今年もまた猛暑の夏がやってきた。



「……暑いね」

「…………暑いな」

「夏だね」

「……夏だな…」

「私、夏好きなんだよね。」

「……だろうな…」


「……一護は夏、嫌い?」


「別に嫌いとかじゃねぇけど……」


「……けど?」



「………暑すぎんのは好きじゃねぇな……」




………確かに暑い。




冷房の効いた室内にでもいれば、こんなにも暑くないんだろうけど…




今、私たちがいるのは、





炎天下の公園。




じりじりと真夏の強い日差しが地面を焼いて、



ベンチに座って公園の入り口を眺めると、ゆらゆらと蜃気楼が見えた。



額に、じんわりと汗が浮かんだ。



「…クーラーってさ」


「あ?」


「何か…涼しいけどさ、体に合わないっていうか…」


冷房効きすぎて、寒いんだよね、と言いながら笑って横にいる彼に目をやると、


「…そっか。」


と言って黙ってしまった。


文句だって沢山あるんじゃない?



だって汗だくじゃない。



「…すっごく寒い室内からさ、外にでた時一気に暖かくなるじゃない?」


「…あぁ。」


「あれって気持よくない?」


「……そうか?(汗)」


「……一護…」


「……あ?」


「大丈夫?」



今日の気温は今夏最高。



ミーンミーンという声とジワジワという異なる蝉の鳴き声と、


ゴォォと低い音を響かせながら、天空を飛ぶ飛行機の音。



遠くでは子供たちの遊ぶ声が微かに聞こえる。



「…大丈夫だよ。」


「…嘘だよね?」


「……別に…大丈夫だ。」



「嘘。絶対私のこと『変な奴』って思って引いたでしょ?」


「……そっちかよ(汗)」



あらら。



ぐったりしてたのに、今度はがっくりしちゃった。



一護はどうして、こんなにおもしろいんだろう…。



「…ね、一護。」


「……。」




あら、もうダウン寸前かな?


夏生まれなのに、一護は暑さには弱いみたい。



いや…私が異常なのかな?


でも




私だって暑くないわけじゃないよ?



ただ、さっきまで冷房がガンガン効いた図書館で勉強してたんだけど、体が芯から冷えちゃって、寒くなったから、今はこうして外で体を温めてるわけで…



20分も外にいたら、結構…いや、十分温まった。



て、言うか……



暑い。



けれども、




熱い日差し



焼けた地面



けたたましい蝉の鳴き声



視界を歪ませる蜃気楼




高く蒼い大空



遠くにそびえる白い入道雲



花壇に植えられた向日葵が一護の背も越えて、濃い黄色が目に眩しくて



じわりと汗が肌に浮かんで、



暑いけど




心地好くて




何だか妙に





胸が騒いだ。




「……暑いね。」


「……あぁ。」


「……一護…」


「……あぁ?」










「……好きだよ」


「あぁ………ん?(汗)」





ミーンミーンミーン…




「…Σっ……?!///」




あら。



反応鈍かったのに、



表情だけは早かった




顔が真っ赤な一護。




「私、好きだよ?夏。」



「…なっ……夏かよ!(汗)///」



「何だと思ったの?」



.

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ