BLEACH 短編
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夏
〜SUMMER〜
極寒の冬には、
夏の日差しが恋しくなる。
しかし、実際夏になってみると、
その恋しさなんて嘘だったかのように、
うだるような暑さに目眩がする。
そんな矛盾を毎年抱えながら、
今年もまた猛暑の夏がやってきた。
「……暑いね」
「…………暑いな」
「夏だね」
「……夏だな…」
「私、夏好きなんだよね。」
「……だろうな…」
「……一護は夏、嫌い?」
「別に嫌いとかじゃねぇけど……」
「……けど?」
「………暑すぎんのは好きじゃねぇな……」
………確かに暑い。
冷房の効いた室内にでもいれば、こんなにも暑くないんだろうけど…
今、私たちがいるのは、
炎天下の公園。
じりじりと真夏の強い日差しが地面を焼いて、
ベンチに座って公園の入り口を眺めると、ゆらゆらと蜃気楼が見えた。
額に、じんわりと汗が浮かんだ。
「…クーラーってさ」
「あ?」
「何か…涼しいけどさ、体に合わないっていうか…」
冷房効きすぎて、寒いんだよね、と言いながら笑って横にいる彼に目をやると、
「…そっか。」
と言って黙ってしまった。
文句だって沢山あるんじゃない?
だって汗だくじゃない。
「…すっごく寒い室内からさ、外にでた時一気に暖かくなるじゃない?」
「…あぁ。」
「あれって気持よくない?」
「……そうか?(汗)」
「……一護…」
「……あ?」
「大丈夫?」
今日の気温は今夏最高。
ミーンミーンという声とジワジワという異なる蝉の鳴き声と、
ゴォォと低い音を響かせながら、天空を飛ぶ飛行機の音。
遠くでは子供たちの遊ぶ声が微かに聞こえる。
「…大丈夫だよ。」
「…嘘だよね?」
「……別に…大丈夫だ。」
「嘘。絶対私のこと『変な奴』って思って引いたでしょ?」
「……そっちかよ(汗)」
あらら。
ぐったりしてたのに、今度はがっくりしちゃった。
一護はどうして、こんなにおもしろいんだろう…。
「…ね、一護。」
「……。」
あら、もうダウン寸前かな?
夏生まれなのに、一護は暑さには弱いみたい。
いや…私が異常なのかな?
でも
私だって暑くないわけじゃないよ?
ただ、さっきまで冷房がガンガン効いた図書館で勉強してたんだけど、体が芯から冷えちゃって、寒くなったから、今はこうして外で体を温めてるわけで…
20分も外にいたら、結構…いや、十分温まった。
て、言うか……
暑い。
けれども、
熱い日差し
焼けた地面
けたたましい蝉の鳴き声
視界を歪ませる蜃気楼
高く蒼い大空
遠くにそびえる白い入道雲
花壇に植えられた向日葵が一護の背も越えて、濃い黄色が目に眩しくて
じわりと汗が肌に浮かんで、
暑いけど
心地好くて
何だか妙に
胸が騒いだ。
「……暑いね。」
「……あぁ。」
「……一護…」
「……あぁ?」
「……好きだよ」
「あぁ………ん?(汗)」
ミーンミーンミーン…
「…Σっ……?!///」
あら。
反応鈍かったのに、
表情だけは早かった
顔が真っ赤な一護。
「私、好きだよ?夏。」
「…なっ……夏かよ!(汗)///」
「何だと思ったの?」
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