BLEACH 短編

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〜WINTER〜




冬は寒い



寒いけど



でも好きなんだ



冬じゃなきゃ味わえない






純白の結晶の美しさも






貴方の温もりも








すべてが私を惹き付けて放さない。






「………寒い」



ぽつりと言葉を口にすれば、自分の吐息が白くなって凍えた空気に浮かんで消えた。



「ねー、寒いよー…」



私はガチガチと震える唇を動かして、ぴんと伸ばした背中を向けている恋人に訴えた。



彼に「寒い」と訴えたところで、この寒さがなくなるわけではないんだけど。



でも、そんなことわかっていても、やっぱり「寒い」と無意識に呟いてしまう。



「あー、ダメ!!寒い!!!凍死する!!眠ってしまう!!眠って死んじゃう!!!」


「そんな元気ある奴が死ぬわけねーだろ。」


「ゔ〜寒い〜!!寒すぎて眠気さえ吹っ飛んじゃったよー!!」


「ぐだぐだ言ってねぇで、さっさと歩け。帰りつけばお前の好きなコタツと囲炉裏が待ってんぞ。」


「いや、それはわかってるんだけどね…それでもやっぱり寒いし、寒いと足どころか体すべての動きが鈍くなるのさ…と言うわけで…

やっぱり寒い!!

寒いよ冬獅郎!!!どうにかしてよー!」


スタスタと前を歩き続けていた恋人に難しいお願いをしてみる。


もちろん、どうしようもないことはわかりきってる。


でも、頭でわかりきっていても口にせずにはいられない。


「し、死ぬっ!寒い!!(泣)」


びゅうっと北風が前方から吹き、あまりの冷たさに瞳を固く閉じる。



赤く染まっているであろう私の頬は、最早感覚が遠退きかけている。


凍えた手足もまるで自分の物ではないようで、曲げようとしても容易に曲げることができない。



「私、寒いのだけはダメなんだよー!!」


「嘘つけ。蓮は暑いのもダメだろうが。」


「ざむ゙い゙…ゔゔっ、冬獅郎はいいよね。冬生まれだから寒さに強くて。何たって名前に『冬』が入ってるんだもん。寒さに弱いわけがないよね。斬魄刀も氷雪系だし……って、考えてたらもっと寒くなってきた!」


「俺だって寒いもんは寒いし、冬生まれなのも名前に『冬』が入ってるのも関係ねぇだろ。つーか、お前が極度の寒がりなだけで…」

「寒い!寒い!!」



「おい……いい加減黙れ(怒)」


「無理!!寒ーい!」


高い空に吠えるようにそう叫んだ瞬間、




ブチッ、という聞こえるはずのない音が聞こえた……



……気がした。




「だぁー!!もう、うるせぇって言ってんだろ!?(怒)」


どうやらさっき聞こえたような気がしたのは冬獅郎の堪忍袋の緒だったようで、


怒った冬獅郎がくるりと突然足を止めて振り向いた。


「冬獅郎がこの寒さをどうにかしてくれるんだったら黙る。」


「てめぇ…(怒)」



またもや無理難題を押し付けてみる。



もちろん、そんなことできるわけないって……



その出来事の一瞬前までは



そう思っていた。



「……わかった、今の言葉忘れんなよ」


「え?」



冬獅郎の言葉に伏せていた顔を上げた瞬間、




ぐいっと引き寄せられたと頭が理解するより先に、



冬獅郎の唇が「寒い」を連呼していた私のそれを塞ぎ止めた。



「っ……?!///」



突然の出来事だったからか、それとも凍えた唇が敏感になっていたせいか、



同じように冷たいはずの彼の唇がリアルに感じられて、



麻酔がかかっていたように感覚の無かった体の神経が機能し始めた錯覚に陥った。


冷たい唇がじんわりと彼の唇の熱で溶かされていくと、一気に顔に熱が集中した。


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