BLEACH 短編

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飴と鞭



テストが近くなれば、必然的にデートの回数より『勉強会』の回数が増えてしまう。


それでも、その勉強会が嫌じゃないのは、一緒に勉強してるのが愛しい彼女とだから。


勉強会でもデートしているようなもの。


けれど俺の勉強の能率はあまり上がらない。


何故なら…



「一護、手・止まってるよ。」

「ん?あぁ、わりぃ…」



何故なら蓮に見とれてるから。


見つめる先は教科書でもノートでもなくて、向側に座って黙々と勉強する蓮。



伏せた長い睫

シャーペンを動かす白い指

時々舌をちらりと覗かせる薄紅の唇…



あぁ、くそ…

やっぱりかわいいな。



それらに魅せられてぼーっと彼女ばかりを見つめていた俺の視線を、蓮の大きな瞳が捕えた。



「一護…また手が止まってるよ?」


少し溜め息混じりに言われたその台詞。


少し困ったような、そんな表情の君でさえ愛しいと感じてしまう。


あぁ…もう俺は末期だ。



「ほらっ!このページまで頑張ってよ!」

「わかってるよ。ただ…なんか、身に入らないっつーか…」



文字の羅列よりお前を見つめていたい気分なんだよ。



「もぅ!じゃあ…ここまで私より早く終わらせたら、ご褒美あげる。『飴と鞭』って言うしねー」


「…ご褒美?」



ご褒美ってなんだよ。

まさか本当に飴玉とか…?



そう笑いながら尋ねたら、


「うーん…じゃあ、キスしてあげる」

「……は?」


一瞬聞き間違えかと思ったが、俺の耳は正常に機能していたらしく、




「キスじゃ…ダメ?」




少し頬を染めた蓮が、上目使いで少し困ったような瞳で俺を見つめた瞬間、


俺の心臓は簡単に鼓動を速め、

返事をするより先に手に持つシャーペンが動き始めた。



ダメ、なわけねぇだろ?



俄然やる気が出た俺は、まんまと『飴と鞭』作戦に引っ掛かり、猛スピードで勉強をする。



蓮からのご褒美を手にするため。



けれど、彼女から貰えるのなら、飴でも鞭でも構わないと


そう思ったことは、俺だけの秘密…。





もちろん、ご褒美のキスを


愛しい蓮から頂いたのは、言うまでもない。






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男って単純なんです(笑)

でもそこがかわいいんですよね、きっと!




2008.02.18 加執・修正






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