BASARA
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今日は特別な人への愛を形にする日。
刻んだチョコが溶けて、ボールの中で滑らかな渦を巻く。
とろとろと艶やかに流れて甘い香りを放つそれを混ぜながら、心が躍る。
喜んでくれるかな…
チョコに生クリームを加えて混ぜ、暫く冷やして切り、ココアパウダーでまぶしたら…
「できた…!」
「…お?うまそうな匂いがすんな!」
声がする方に顔を向ければ、大好きなあの人が立っていた。
「元親さん!もうお仕事は終わったんですか?」
「あぁ。悪ぃな、家で仕事しちまって…」
そう言いながら元親さんは背後から長い腕を回して抱きしめてくれる。
「お疲れ様でした。おやつにと思ってチョコを作ってたんですよ。」
柔らかい髪の毛が頬をくすぐる。
それがとても心地よい。
「そっか、バレンタインか。」
「今年は生チョコにしてみました。」
「すげぇうまそうじゃねぇか。」
できたばかりの生チョコを飾り付けた皿を持ち上げようとすると、私の手より先に元親さんの手が生チョコを一つ掴んだ。
その手が元親さんの口に運ばれ、チョコが放り込まれる。
「ん…うまい!」
「本当ですか?よかった…まだ味見をしていなかったので…」
私も、と手を伸ばし、一つ掴んで口に運ぶ。
ほんのりほろ苦いココアの味がして、次にチョコの甘さが口に広がる。
よかった、どうやら美味しくできたようだ。
そう安心しながら咀嚼しようとすると、
「神楽」
元親さんが名前を呼んだ。
反射的に横に顔を向ければ、元親さんの唇が私の口をふさいだ。
「ん…!」
口の中で溶けかけていた柔らかいチョコが、二人の熱で溶けて消えていく。
やっと唇が解放された頃には、チョコは完全に溶けて甘い余韻だけを口に残した。
「…やっぱ、こっちの方がうめぇな。」
目の前の元親さんは舌で軽く唇を舐めながら、そう言って笑った。
Melty Kiss
(溶けたのはチョコではなく私)
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アニキと同棲or結婚してる設定。年下主人公です。
アニキに屈んで顔覗きこまれたい…という願望から生まれました…
屈託のない笑顔を浮かべるアニキも妖艶に微笑むアニキも大好物です!!///
2012/02/13