□11月22日
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「十四朗さん
時間はいいの?」














「あ、やべ」





ミツバに問われ、土方は激辛マヨネーズ茶漬けを口に掻き込んだ



「ごちそうさま
今日はまた一段と寒いらしい
体冷やすなよ」


「ふふ、はい」



「定期検診行くのも厚着してけよ」


「もう…
分かってます
ほら、遅れちゃうわ」






「あぁ
じゃあ行ってきます」




「はい、お弁当
行ってらっしゃい」







ミツバはいつも土方の姿が見えなくなるまで見送る



気候が安定している時ならいいのだが、寒い冬や真夏でもミツバはやめない









土方は当然やめるよう説得したが、彼女の意志は固かった



「いつ死ぬかも分からないお仕事なんだもの
朝見送った後ろ姿が最期になるかもしれないじゃない

だったら妻の私には貴方を見届ける権利があるわ

そうでしょう?」




ミツバはそう笑って頑として受け入れはしないのだ




絶対に折れないと観念した土方は、ミツバとある条件を引き換えにしていた



















「…俺より長生きしろ」

これは結婚時の約束でもある






時折見せるミツバの強さには土方も感服せざるを得ない
































そして土方はミツバと夫婦になってからというもの、通勤時にも気を張るようになった




いつ何時襲われようと対処できるようにするためだ










ミツバと夫婦になって初めて、自分がどこか捨て身であると気付いた




近藤や沖田、守りたい仲間は確かにたくさんいる

だが彼らは戦友だ





仲間の屍も敵の屍も、これまで幾つも乗り越えてきた





ミツバは強い


最初から土方の最期の姿を見届ける覚悟で夫婦になったのだ


体は弱くとも、精神面は見上げるものがある






だがやはりミツバと彼らとは決定的な違いがあった

















屯所に着き、門をくぐるとさっきまで見ていた髪色と同じ頭が昼寝している



まだ昼ですらないが




「起きろォォォォォォォォ!!!!!」

土方は豪快に総悟を蹴り飛ばした



「…痛いじゃないですかィ」


「朝礼だ!さっさと顔を洗え!!」





こうしてまた今日が始まる














「…これで今日の見回り区分は終了だ
近頃はテロリストの動きも少ない
だが、これに甘んじて気を緩ませるな!!
嵐の前の静けさだと肝に銘じ、何時でも気を張れ!!!
解散!!」













「ふわぁ…」
土方の檄も虚しく
総悟は早速大きなあくびを1つ




間違いなく総悟は隊内で1番気が緩んでいるだろう








書類はもちろん面倒だ
少し早いが市中見回りにでも行くか
それとも寝てしまうか

総悟はうーん…と考えを巡らせる








「あ、沖田さん!
チャイナさん来てますよ

広間に通してありますから」









何かあったっけ


そう思いながら総悟は神楽のいる広間へ足を運んだ












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