□雨は止むことをしらない
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ああ、俺は知っている
どれくらい寝ていたのか知らないが、こいつがずっと俺を看ていてくれていたこと
不安で堪らない気持ちを殺して
俺がいつ目覚めてもいいようにと、凜とした瞳を保ちながら
だけど俺はそんなアイツを置いて行こうとしている
薙刀なんて持ち出して、俺の傍らに座っているのはこいつなりの俺へのメッセージか…
目を逸らすことができるなら綱渡りも楽に渡れるだろう
俺にそんな事はできない
いや、それはこいつも同じか…
目は逸らせても心は逸らせなくて踏みにじる思いを押し込める
それでも、わかってて止めたのか
わかってて出ていったのか
「かわいくねー女」
傘にうちつける雨が俺に告げている
湿った空気が肌にまとわりつく
絶対 絶対に
愛しいあいつの元に帰ってくると……
傘を返すために―…
-end-