□誰かを想う愛しい心の様に
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本当は行かせたくなんかなかった

だけどそんな表情のあなたを私は見ていられない



不器用な私は「いってらっしゃい」なんて言えるワケがなくて




笑って送れるほど私は強くなんてないから

笑顔で[わたし]を押さえて外に出た






"私のお気に入りの傘、あとで返してくださいね"



なんて置き手紙をあの人の服の上に置いて…





打ち付ける雨があなたと私の心をシンクロさせて表しているみたいで



人が行き交う道で私の傘を見つけて出てきた言葉






















「バカな男」













わかってる


私もあの人も闇に呑まれた人を放って置くなんてできない

雨空の下で自分を待っている人を見ぬふりなんてできない




バカなのは私
1人私の傘を見送りながら呟くことしかできない臆病な私





必ず 必ず…
どうか無事に帰ってきてください




傘を返すために―…

    -end-
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