□ユキウサギ
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しんしんと降り積もる雪
肌寒いこの季節に、「かぶき町の女王の神楽様はそう簡単にカゼなんてひかないアル!」
そう言って一昨日、薄着で過ごしたのがいけなかったのだ
神楽は苦しそうに咳き込み、時折鼻水を飛ばしながら万事屋の和室で寝込んでいた
銀時や新八、妙が先程から世話を焼いてくれている
銀時は妙が来てからは大して何もしていないが
「神楽ちゃんなにか食べる?」
「ん、いいアル」
新八が何も食べようとしない神楽を心配して声をかけた
食べることが大好きなハズなのだがそんな気分ではない
咳や鼻水、頭がボー…としてしんどいのはもちろんなのだが、神楽にとっては最近沖田に会っていないコトの方が重大で…
細かいことはよく知らないが、仕事だということはわかる
「神楽ちゃんダメよ?
今朝もあまり食べてないでしょ」
襖を開けて入ってきたのは新八の姉、妙
神楽がカゼをひいたと新八から電話で聞き付け、妙は食材を買い、万事屋に急いで来た
食材のほとんどは妙によって変わり果ててしまったが…
「んー…」
返事の代わりに低く唸ると、神楽は布団に潜ってしまった
妙も新八も少し困り果てた表情をしたが、仕方ないという風に和室から出て行った
それから何時間か過ぎた頃
いつの間にか寝ていた神楽はふと目が覚め、急に空腹感が押し寄せてきた
ダルい身体を起こし、布団から這い出てお腹を擦りながらリビングへと移動する
「銀ちゃ―……」
ソファで寝そべってジャンプを読んでいたはずの銀時がいない
台所を覗いてみるが新八や妙の姿もない
時計を見れば4時過ぎ
みんなどこかへ出かけたのかー…
そう理解すると孤独感に押し潰されそうになった
ソファに顔を沈めて床にペタンと座り込む
いつも万事屋にいるはずの定春も今日は何故かいない
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