ぶらり箱2

□‡新たな旅立ち‡3
5ページ/51ページ

何故やら二人だけの旅が停滞してるような…ふっ!
「このまま終点まで行ったら…確実野宿…嫌だろ?な!」
あ…
俺は平気だけどアッシュが嫌いそうだから…
一応頷く。

「だから…その前の大きい目の駅で降りるぞ!」
うん…うとうとしただけなのにアッシュが俺の荷物も担いでデッキに…
「アッシュ…」
あー!
「さっきの返事は?今起きるって…はあ〜」
アッシュが深いため息を一つ。

「次降りるからな!」
あ…うん!
席は空っぽ…俺とアッシュの他には乗客はいない。

ったく…話が違い過ぎる。後もう少し起きるのが遅れたら置いていかれたのかな?なんて考えたら…踏み出した足が止まる。
「早くしろ!」
デッキからもう一度アッシュが俺を呼んでいた。

「ごめん」
ははは…謝るな!
ってそうさせたのは俺か…ふうっ!
「ほら、おまえも荷物持てよ!」
ああ…ふらふらする足のまま進ませたら…辺りの風景が白黒に変わった。
「っ!」
息を飲む間もなく俺は床に吸い込まれる。

「おい!」
拗ねてんのか?
子供じゃあるまいし…荷物を背負ったまま…起き上がってこない。
「ほら、ルーク?」
手を差し出しても反応が無かった。

次の駅のアナウンスが車内に流れてきて…焦った俺はおまえを抱えて出口に向かう。
「ふーっ!」
間に合った?
「ん?」
辺りをキョロキョロして…今にも泣きそうになってるおまえの手を引っ張る。
アレ?
「寝呆けたのか?」
えー?
もうおっきな街の改札に居たからびっくりして…
「まさか…アッシュ?」
記憶に無いのだろうか?
足を踏みならして…手をギュッと握り返す。

「大丈夫か?」
ようやくおまえの様子がおかしい事に気付いた。
ったく!遅いんだよ!
「…ごめん」
ほら…何て声出させてんだ?
「俺が担いだの覚えてるか?」
えー?
ったく!こいつは…
「何か白黒になって吸い込まれた…」
貧血か?どれ?
ルークの額に手を当てると冷たかった…
「駅の中のホテルで良いな!早く休め!」
駅の中って?
高いんじゃないのか?

「…ごめん」
また?またか?俺…変過ぎだよな…はあはあ…唇がかさかさになって…
アッシュが遠くで手を振ってるのか?

「…ルーク?」
アッシュが出した手に捉まれる気もしない。


つづく
2010.04.26.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ