ぶらり箱2

□‡新たな旅立ち‡3
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結局一睡も出来なかった。ふーっ!

コンコン…
え?誰…こんなに早く?
「誰?」
俺は…投げ遣りに聞いた。「あの…俺」
えー?

「ルーク?」
俺は急いでドアを開ける。あ…おまえ…何で?
「帰っても良いって言われたから…」
後ろから咳払いが聞こえ…「確かに送り届けましたよ」ふふっ!

え?
「通りすがりの医師だって」笑って説明?
「…お世話になりました」
俺は声の主にペコリと頭を下げる。

「あなたも眠った方が良いですよ!」
え?
アッシュ…寝なかったのか?俺のせい?ごめんな…

ち、違う!
「部屋に入れて上げたらどうです?」
ああ…悪い…
「ルーク?気分は?」
一番気になってる事を聞いた。
「うん…随分マシ」
へへへ…
いつものおまえの声を聞いたら安心して…



二人だけで大丈夫ですか?良ければ…
「うん…次は俺がアッシュの面倒みるから」
ふらふらするアッシュをベッドに戻した。

「無理はしないように…」
ああ…友情出演ありがとなジェード…
「後で…な!」
ドアをパタンと閉める。


ふーっ!
通りすがりの医師とかどんなだよ!
「アッシュ…寝なかったのか?」
目の下黒くなってるぞ!

あ…俺のリュックあった!アッシュに見られた?
ふーっ!
俺も一緒に…転がった。




寝起きに調子悪いって…何だよ!何も出来ないじゃねえか?
アッシュ…




チェックアウトの時間になってもホテルから何の連絡もなかった。通りすがりの医師が連絡してくれたのかな?
夕焼け…キレイだな!
アッシュの方がずっとキレイだけど…
なでなで…広がったおまえの髪を撫でる。



ふうっ!
いつもと逆。アッシュが倒れたら次にドコへ行ったら良いのかわからないよ!
「んー?ルーク…」
アッシュが気づいたらしい…良かった…
「…良かった…」
俺の言葉はアッシュに届いたんだろうか?

「良くねえよ!」
不機嫌なアッシュの声に少し笑う。ふふっ!
頭がふらふらする…おっかしいな…さっきまで…元気だったのに…
「俺…何だかふらふらする」顔が痺れてんのかな?

目を閉じたらもう動けなくなるような気になった。
「っ!ルーク…」
退院して…大丈夫だったのか?
いや…そんな事言いたかったんじゃない…
「アッシュ…」
ごめんな…
「いや…飯でも喰いに行くか?」
俺は首を振った。

そんな…余計な…持ってきてないだろ?
「心配しなくても…」
俺はホテルの受話器を上げる。


2010.05.15.
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