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□おひさまのいろ
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泣いたところでどうなる訳でもないけれど、未練がましくぐしゅぐしゅいってる私の鼻は詰まって詰まって仕方ないし真っ赤になってしまった目からは止めどなく涙が溢れ出た。
『あーもう…泣くなや』
めんどいやっちゃなァ、そう言いながら頭を撫でてくれた隊長はもう何処にもいない。朝弱いなら毎朝俺ンとこ来て髪とかせや。綺麗な金色の髪は私の指をさらさらとこぼれ落ちていった。
「あ、はは…ねむいなあ」
隊長がいなくなって、一生懸命目覚ましと格闘する意味なんてものも失って、永遠に朝は私のもとを訪れなくなった。ねむい、ねむいねむいねむい。
「た、いちょ…」
あなたがいなくなってしまったこの世界で、
「ね、むい…」
私は二度と目覚めることはないだろう。
おひさまのいろ
(あなたの髪は)(おひさまみたいな色だった)(あなたの手は)(おひさまみたいな温度だった)