Prince
□蕩けるまでだ
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「何?」
見てたら仁王は首を傾げた。こてんって音がしそうな感じ、ちょっとかわいかったから私の頬が緩んだ。仁王も少し笑顔になって私に手を伸ばした。
「お花ついてる」
「げ、花粉」
「色気ない…」
仁王はしょんぼりして指に挟んだピンク色の小さな花をくるくる回した。私は頭をぷるぷる振る。この並木道すぐ花が落ちてくるからくしゃみ止まんなくなるんだよね。
「似合う?」
「似合う似合う」
自分の髪に花をさした仁王はにこにこ笑った。仁王がテキトーな返事って膨れたから私は笑った。
「写メ撮らして」
「おお、俺そんなに似合う?」
カメラを向ければ今度は得意げな仁王。実は表情豊かだよな、こいつ。てゆうか花に"お"付けたり髪に飾ったりお前さっきからかわいすぎるよどうすんだそれ今夜泊まりに来るかい?
「仁王笑って」
「ん」
「あ、かわいい」
かわいいと言うと仁王はまた膨れた。それがかわいいんだけどなー。
「でもかわいいって仁王以外に言わないよ、仁王だけ一番かわいい」
そんなことを言ったら仁王はすごく嬉しそうだった。花が仁王の指先でくるくる回っている。超高速。
「それ、俺にハマっちょるよ、どうすんの?」
「ははっ、決まってる」
蕩けるまでだ
「仁王、キスしよう」
「ん、舌入れてもい?」
「あたしが入れたい」
「やーだ」