Prince

□兎に睨まれる
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「やだ」

そう言ったら赤也は拗ねてしまった。さっきから部屋の隅っこでちっちゃく体育座りしてのの字を書いている。なんだかそんなに拗ねられちゃうとこっちが悪い気になってきちゃうんだけどいやでも私悪くないと思う。


「赤也〜」

「…………ぐすっ」


泣いちゃったよ。

ちなみになんでこんなことになったかと言うと少し前に赤也がエッチしたいとか言い出したことに遡る。それもいきなりだ。


「あのねぇ、も〜」

「………せんぱい」

「うお、なに?」


急に喋った赤也はちらっと肩越しにこっちを見た。なんかもう赤目こんなとこで出されても困るんですけど、あ、赤也うさちゃん抱っこしてる可愛いな。

先輩は俺が嫌いですか。赤也はそう言って抱きしめてる兎のぬいぐるみに顔を埋めた。


「嫌いじゃ、ないけど…」

「じゃあなんでエッチさせてくれないんですか」

「そ、それとこれとは違うよ!」


第一私たち付き合ってすらいないじゃない、って言ったら赤也は固まった。数秒後またちらっとこっちを見て、私を睨んだ。


「う、なに…」

「付き合ってないんですか」

「え、」

「俺たち付き合ってないんですか?遊びだったんですか!」


ええぇえ何言い出しちゃったのこの子!私たちがいつ付き合ったっていうのさ!いやいや私は赤也好きだけれども!


「俺が好きって言ったら私もって言ってくれたじゃないすか!」

「え、え?いつの話?」

「昨日!」

「昨日?!」


昨日っていえば私は赤也の家に遊びに来ててゲームしてて、でもポケモンしてたせいで一昨日から一睡もしてなかったからそのままうとうとしちゃって、それで赤也が何か言ってて適当に返事してなんとか目を覚ましたら赤也がすっごいにこにこして私を抱きしめてて、って、え?も、もしかして、あれ?あれですか?


「あ、あれは違うでしょ!」

「もてあそんだんっスか!」

「ちょっ、ちがうじゃん!」


ぎゃあぎゃあと騒ぎだす赤也。先輩は俺の純情もてあそんで捨てるんだ!とかなんとか言って兎をぶんぶん振り回す。


「あれはナシでしょ!?」

「アリです!」

「ナシだもん!」

「じゃあ俺の事捨てるんスか!」

「っ、じゃ、じゃあもっかい告白して!」

「好きです!」

「私もだよ!」

「っは?!」

「は?!」


はって何よ、私のこと捨てるわけ?!もう赤也なんか知らないって兎を取り上げて抱きしめてさっきの赤也みたいにそっぽを向いたら赤也は違います違いますと後ろから飛び付いてきた。でも無視していいもんうさちゃんとちゅうするもんって兎に顔を近付けたらうああああ!って叫んだ赤也に押し倒された。


「いたい!」

「やです先輩とちゅうするんです!先輩好きなんです!」

「知らない赤也のばかぁああ!」




(いやだぁああ先輩とちゅうするエッチするー!)(うるさい誰がするかぁ赤也なんて嫌いぃい!)



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