イザアス好きさんに28題

□07:お前が悪い!
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【07:お前が悪い!】


「……………何だ、これは」
「よく似てるだろ」

自信たっぷりと言った表情で目の前に座っているアスランを見て、もう1度その視線を2人の間に置かれた物体に向ける。
ちょこんとそこにある球体の目がこちらを見ている現実に、イザークは頭が痛くなる気がした。

「これが、何に、似てるんだ?」
「だから、イザークに」
「ふざけるな貴様っ、これのどこが俺に似てる!」
「似てるじゃないか、ほら」

そう言ってイザークの頭の横に球体を持って行き、嬉しそうにアスランは続ける。

「いろいろ試したんだが、既製品だとこの色がなかったんだ」
「……色?」
「それ以外に何があるんだよ」

呆れたような口振りに、それはこっちだと言いたくなったがイザークは堪えた。
無意識の内だったが、もしかすると1つ大人になった事がそうさせたのかも知れない。
2ヶ月半の間とは言え、2歳差なのだと思えば少しは気が紛れるのだろう。
だがだからと言って、恋人からの誕生日プレゼントがこれでは嬉しさは半減以下だ。
ハロだか何だか知らんが、ラクス嬢に馬鹿の一つ覚えのように送っていたもの。
人付き合いが苦手なアスランの精一杯の愛情表現、と言えば聞こえはいいが
婚姻統制で勝手に決められた形ばかりの婚約者と自分が同じでは面白くない。

「……貴様…その、もう少しほかに」
「この色を出すのにすごく苦労したんだ。できたと思っても、思い出してみると何か違う気がして、その度に作り直してさ」

銀色って難しいんだなと笑うアスランに、けれどイザークはその前の言葉で止まって。
次の瞬間、未だ球体を並べて色を見比べている腕を掴み、意地悪く微笑んだ。

「な、何だよ」
「これを作っている間、思い出していたのか?」
「え?」
「何度も何度も、俺の事を思い出していたのか?」
「え……?」

いくら鈍感なアスランでも繰り返された事で、その言葉の裏にあるものに気付いたらしく
顔を赤くさせながら、力いっぱい腕を引いてイザークの手を振り払った。

「しっ、仕方ないだろ!手元に写真がなかったんだからっ」
「どれくらいかかったんだ?」
「いいだろ、そんな事!」

半眼で口角を上げているという事は、明らかに楽しんでいる証拠で
それこそ三日三晩もの間、主に髪だがイザークの姿を思い返してみたり
遠くからじっと見て目に焼き付けようとしていたなんて事実は死んでも言えない。
色恋への疎さ、経験値の少なさから軽くあしらうなんて真似はできず、アスランは真っ赤になって俯いた。

「……いい加減にしてくれ」
「ふん、まぁいい。貰っといてやる」

そう言って力なく手のひらの上に転がっていた銀色のハロを、イザークが鷲掴みにする。
そのぞんざいな扱い方と、仕方がないと言った風な言葉に、アスランは少しムッとしてそっぽを向いた。

「いらないんなら別に、貰ってもらわなくて結構だ」
「いらないと言ってやるつもりだったがな、事情が変わった」
「気に入らないんなら無理するな」
「……これ自体を気に入るヤツはそうはいないと思うが?」

 
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